6日に起きたトランプ米大統領の支持者らによる米連邦議会議事堂乱入事件で、内部に犯行を手助けした議員やスタッフがいる可能性が浮上している。

乱入事件を巡っては日がたつにつれて、その驚くべき詳細が次々と明るみとなる中、一部の暴徒がペンス副大統領の暗殺や議員の拘束などを計画していたことも分かっている。

USAトゥデイ紙やCNNなど複数のメディアは、襲撃した集団は一般には知られていない民主党のペロシ下院議長の事務所にも侵入するなど建物内部のレイアウトを詳細に把握しており、事前に下見を行っていた可能性を指摘。一部民主党議員からも事件前日に犯行に関与したとみられる集団が議事堂を訪問して見学ツアーを行っているのを目撃したとの証言も出ており、ほう助した内通者がいない限り犯行は無理だったとの声が出ている。

また、ある議員は部屋に設置していた緊急時用のパニックボタンが紛失していたと証言しており、何者かが通報を防ぐために事前に取り外した可能性も浮上している。

30人を超える議員たちが、「新型コロナウイルス感染拡大の影響で議事堂内部の一般公開ツアーは中止されており、内部のアクセスが制限されているにもかかわらず外部の人間と思われる集団が議事堂内にいるのを多くの人が目撃していたと」と議事堂警察に書簡を宛て、訪問者を招き入れた人物について捜査するよう求めている。ペロシ議長は記者会見で事前に議事堂を見学させて犯行を手助けした議員がいるとの情報について問われ、「議員が共犯だと判明したり、犯罪を支援、ほう助したことが分かった場合は議会を超えた措置を取らなければならない」とコメントし、事実であれば刑事起訴もありうると発言している。連邦捜査局(FBI)はSNSの投稿映像などから事件に関与した100人以上の暴徒を割り出して逮捕、起訴している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)