新型コロナウイルス感染症で、2度目の緊急事態宣言が11都府県に発出されている。感染者数だけでなく、全国の重症者数は連日、過去最多を更新している。医療従事者への負担は激増している。

思い返すと、1回目の緊急事態宣言が全国に出された昨年4月中旬以降、世界で医療従事者を支援するプロジェクトが数多く動きだした。町の施設を医療従事者に感謝を伝えるブルーにライトアップしたり、定時に一斉に拍手して感謝を伝える行動も広がった。

イギリスの99歳の陸軍退役大尉は、国民保健サービス支援のために、自宅の庭を歩行補助器を使いながらの100往復に挑戦した。オンライン募金サイトでの当初の目標額は1000ポンド(約14万円)だったが、実に約27億円を集めた。

世界のミュージシャンも動いた。レディー・ガガが発起人となり、医療従事者を応援するため、スター歌手の自宅から配信する慈善コンサート「One World:Together at Home」が行われた。ポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズ、スティービー・ワンダー、エルトン・ジョン、セリーヌ・ディオン、テイラー・スイフトら数多くのスター歌手が自宅から歌声を届けた。実に138億円が集まった。

日本でも宮本亞門氏が発起人となり、「上を向いてプロジェクト」が始動。坂本九さんの「上を向いて歩こう」を芸能人だけでなく一般の人たちも歌う動画を数多くつなげて、医療従事者だけでなく、コロナ禍でも生活を支えるために働く人々などを激励した。そして、グッズ売り上げなどを国立国際医療センターに寄付した。

ジャニーズ事務所も「Johnny's Smile UP!Project基金」を立ち上げ、看護師養成支援などを目的に寄付を続けた。MISIAやDREAMS COME TRUE、GLAY、YOSHIKI、指原莉乃ら数多くの著名人も、医療従事者支援に動き寄付した。

1回目の緊急事態宣言が発出された時は、世界中が「暗中模索」だった。だからこそみんなが動いた。いま、専門家が「医療崩壊」の可能性を口にしている。今まで以上に、感謝の気持ちを持って、行動しなければと思う。【笹森文彦】