北海道を拠点に活動する音楽ユニットNORD(ノール)のメンバーでバラエティー番組でも脚光を浴びる島太星(23=深川市出身)の素顔に迫った。天然キャラでテレビ番組で笑いを誘う。歌えば米ニューヨークのアポロシアターの舞台に立った歌唱力でファンを魅了する。大御所との番組共演を果たした昨年の活動や、幼少期の過ごし方、今後の未来展望を聞いた。【取材・構成=浅水友輝】

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島は強烈な天然キャラでバラエティー番組を席巻している。緊張で慌てふためく挙動と予測不能、ときに“アウト”すれすれな発言で思わず場が笑いに包まれる。

島 狙ったら全然ウケなくなるのが見えているので、なるべくバラエティーは何にも考えないようにしています。(天然は)気持ちが上がりすぎて煙がでているときですね、あれは。

あの名物番組で爪痕を残した。年末年始は故郷の深川市に帰省し「お正月なのでカツ丼とか食べましたね」と島家の謎の風習で過ごした。大みそか放送の日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 絶対に笑ってはいけない大貧民GoToラスベガス24時」で、社内研修のシーンであがり症の社員を熱演。ダウンタウンも笑わせアウトにした。「ダウンタウンさんは歴史上の人物みたいな感じですね。何に緊張しているのかわからなくて…。カメラに緊張してました」。

事務所の先輩大泉洋(47)が白組司会を務めた紅白歌合戦も見て刺激を受けた。将来的な司会挑戦は「事務所へのクレームが止まらない」と苦笑いも「紅白に出るのは日本中の人に認められて、みなさんが知っている人。この活動している中で紅白は夢ですね」と意欲十分だ。

というのも本業は歌手。幼少期から歌うのが大好きだった。中学1年の学園祭のパフォーマンスを決める際に「教室でみんなの前でRADWIMPSのボーカル…尾崎豊さんでしたっけ、あれ、違うか。野田洋次郎さんか。『もしも』って曲の最初のフレーズを歌ってがっと沸いた」。歌に目覚めると民謡で日本一経験のある祖母に「裏技ちょーだい」と教えを受けつつ、独学で歌唱力を磨いた。

オーディション番組出演を機に16年に音楽ユニットNORDの一員でデビュー。19年に歌番組に出演したのをきっかけに全国区の出演が増え、その天然キャラからバラエティー番組の出演が舞い込むようになった。

一方で培った歌声は世界クラスだ。英語のデモ音源を複数回送り、18年2月に米ニューヨークのアポロシアターのイベント「アマチュアナイト」への出演がかなった。プロへの登竜門ともいわれる伝統のステージ。マイクを握ると普段の慌てぶりが一転、抜群の歌唱で聴衆をくぎ付けにした。「最初はしかめっつらだったのに最後は笑っていた。すごく心変わりが早い人たちだなって」。なぜか「銃で撃たれたり、生卵が飛んでくる」恐怖はあったが、不思議と緊張はしなかった。

「歌っている島くんも魅力的でかっこいいと思うのでそっちも知ってもらえたら」。昨年11月にはYouTubeで公式チャンネルを開設。毎週金曜日にカバー曲を配信して音楽活動もPR中だ。モットーは「楽しく優雅に暮らしたい」。テレビやラジオ出演に音楽活動、演技にも興味がある。

島 歌もバラエティーも演じることも、違うジャンルをどんどん発掘していきたい。本当に早く次の仕事がしたい。2日休みがあったら病んじゃう。どんどんどんどんやっていきたい。

<取材後記>

「ちゃんと呼吸をして」。島は担当マネジャーからそう告げられたという。テレビ番組出演が増えた昨年も常に緊張しっぱなしで、ある番組の打ち合わせ中に呼吸をするのを忘れるほどで、酸欠寸前になったという。常に全力投球で「1本番組を1時間出るだけでも本当に意味がわかならいくらい消費している。自分がすり減っていく」と笑う。昨年は別分野だったバラエティー番組に多数出演。「周りは優しい人ばかり」と共演者に感謝するが、その反応は島の一生懸命さが伝わるからに違いない。今回の取材中も記者だけでなく、事務所の人も思わず笑ってしまう天然発言を連発したが、1つ1つの質問に真剣に答えてくれた。仕事が忙しくなっても拠点は北海道。「去年頑張ってきたものを今年も受け継いでそれをまた他のメンバーに譲渡?できていけたらな」。所属するNORDのメンバーと一緒に全国区に。ファンや仲間を思う言葉に心根の優しさを感じた。

◆島太星(しま・たいせい)1998年(平10)1月29日、深川市生まれ。深川西高在学中にオーディション番組出演を期に16年NORDの一員としてデビュー。昨年11月からYouTubeチャンネル「たいせいはボク」を開設。特技は歌、大食い、動画編集、タイピング。趣味はカラオケと食べ歩き。177センチ、61キロ。