米歌手マライア・キャリー(51)が、昨年9月に出版した自伝「ザ・ミーニング・オブ・マライア・キャリー」を巡り、実姉に続いて実の兄からも訴えられたことが明らかになった。キャリーは同書の中で、虐待や家庭内暴力(DV)を受けていた子供時代から元夫からのモラハラ、元婚約者との関係などに至るまで自身の半生を赤裸々につづって大きな話題となった。しかし、売春を強要されたなどと書かれた姉アリソンさんから先月、「本が原因でアルコール依存症が再発した」などとして賠償金125万ドルを求める訴えを起こされていたが、今度は兄のモーガン氏(60)からも「暴力的な人物として描かれて名誉を毀損(きそん)された」などとして訴えられたという。

米USAトゥデー紙が入手した裁判所に提出された書類によると、同氏は自身に関する描写は中傷で、事実ではない記述もあり、評判が傷つけられて恥ずかしい思いをさせられたと精神的苦痛を訴えているという。キャリーは著書の中でモーガン氏と父親が取っ組み合いのけんかをしたときのことを振り返り、「2人を引き離すのに12人の警察官が必要だった」と激しいけんかの様子をつづっているが、同氏はこれに反論。意図的に父親と同じような暴力的な人物として描こうとしたものであり、兄を中傷して被害者面するためのものであると代理人は主張している。また、少年時代に小児精神施設に入れられたことも明かしているが、それらが名誉毀損に当たると具体例を挙げて訴えているという。

ニューヨーク・ポスト紙によると、モーガン氏はキャリーの著書で暴力的な人物として描かれたこと原因で交渉中だった仕事のプロジェクトの契約を失ったと伝えており、自身や家族を今後養っていけるのか深刻な不安を抱えていると主張している。キャリー側からは今回の訴訟に関してコメントは出されていない。(ロサンゼルス=千歳香奈子)