NHK経営委員会は9日、東京・渋谷の同局で委員会を開き、森下俊三委員長(75)の再任を全員一致で決めた。森下氏は委員長職務代行者に、村田晃嗣氏(56)を選んだ。

森下氏は先月末で任期が切れたが、政府は再任案を国会に提示し、同意が得られていた。この日は12人の委員の推薦などで森下氏が委員長候補となり、全員が一致したという。

森下氏は「引き続き委員長を拝命しました。誠意をもって、委員と協力して務めさせていただきたい。新しいNHKの追求のために、現在は大変重要な時期。放送サービスの充実やスリムで強靱(きょうじん)な態勢の構築、受信料の値下げなど課題は山積だ。公共放送としてより一層信頼されるように、執行部と緊張関係をもちながら進めたい」と抱負を語った。

18年にNHKの番組がかんぽ生命保険の不正販売に切り込んだ際、日本郵政は苦情を申し立てた。その時、経営委はこの苦情を受け入れ、当時の会長を厳重注意とした。この流れにもっていったのが、当時は委員長代行森下氏だったとされ、さらに、その際の詳細な議事録の公開をいまだに拒んでいる。

この問題について森下氏は「番組に介入した事実はないし、執行部もなかったと否定している」と放送法違反はあらためて否定した上で「(議事録の)非公開については、会長の厳重注意まで非公開でいいのかとの批判を受け、反省している。それ以降は非公表にすることには厳密に運営している」と話した。