映画「ミッドナイトスワン」で知られる内田英治監督(50)と女優真飛聖(44)が24日、都内で、特別講義「LABO」を行った。

「LABO」は、大手芸能事務所ワタナベエンターテインメントとその直結でスクール運営を行うワタナベエデュケーショングループが行う教育プロジェクト。同社に所属するアーティストが自身の経験やノウハウを、同グループのスクール在校生に伝える。内田監督は、同社所属タレント以外で初めて登壇したゲストとなった。

2人は、第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した「ミッドナイトスワン」に続き、16日に第1話が公開された「U-NEXT」の配信作品「列島制覇-非道のうさぎ-」でも再タッグを組んだ。

東京都などに3度目の緊急事態宣言が発出されることについて、内田監督は「映画とか芸術、どうしても我が国ではうしろにされてしまう。家に閉じこもって、何かを見たいっていう思いは一緒。芸術とか文化とか映画とか音楽そういうことが無くなるということはどういうことか、これを機会にいろいろ考えてもらいたい」と受講したスクール在校生に語りかけた。

真飛は「前向きに捉えると、やっぱりこうして心を動かして、人と話をする仕事が好きだなって思った。改めて当たり前じゃない、どれだけ幸せなことか気がつける1年だった。(今回も)前向きに捉えて想像する時間、充電時間としてステップアップできる」と前を向いた。

インディーズ映画などで活躍してきた内田監督は「『ミッドナイトスワン』もオリジナル。それに草■(■は弓ヘンに前の旧字体その下に刀)剛さんという役者さんが賛同してくれて、プロデューサーも賛同してくれて、公開されて、素晴らしい賞をいただいた」とし「好きなことをやってきての映画。やっぱり、好きなことをやった方がいいんだなって思いました」と作品作りへの強い思いを明かした。

そして「好きでもないのにやる映画もいっぱいある(笑い)。大人になるとやりたくないけど出演しなきゃいけない映画っていっぱいある。でもこういう役がしたい、こういう作品に出たいというベースとして軸はないといけない」と俳優の卵たちに呼び掛けた。

さらに内田監督は、俳優に求めるものとして「技術者としていながら、現場で何かを生むことができる人」と答えた。泣く演技など、演じる上での技術とともに、撮影現場で何かを生み出すクリエーティブな能力が必要だと説いた。

「役を作るっていうのは間違っている。役はその場で生まれる。そのための準備はしなきゃいけない」と独特の理論を語ると、スクール在校生はノートにペンを走らせた。