講談社が発行、発売した超大型版コミックス「巨人用 進撃の巨人」が「出版された最大の漫画本」(“Largest comic book published”)としてギネス世界記録に認定された。24日、同社が発表した。記録は4月13日時点で認定されたという。

「巨人用 進撃の巨人」は、漫画家・諫山創氏原作の漫画「進撃の巨人」が4月9日発売の「別冊少年マガジン」(講談社)5月号に最終話が掲載され、完結したことを盛り上げるための施策の一環として、同社宣伝部が企画。週刊少年マガジン編集部「進撃の巨人」担当編集の川窪慎太郎氏に提案して実現した。

主人公のエレン・イェーガーが巨人化能力を発揮し。巨人になった際に読むサイズを想定して制作され、通常の新書サイズコミックスと比べ約36倍の面積となる縦1メートル、横70センチ、重さは13・7キロもある。「進撃の巨人」単行本第1巻を再現し、第1話と第2話を収録し全96ページ。現在、製造途中でサイズが変更になる可能性はあるが、収納箱約3キロ、輸送用の箱約4キロと本体を合わせた総重量は21キロに及ぶ予定。

ギネス記録「出版された最大の漫画本」は、2007年(平19)に米国、18年にはブラジルで達成されたが、その際、100冊販売されたため、100冊が売れた場合にはギネス世界記録として認定されることとなった。そのことも話題となり、販売価格は16万5000円(税込み)と高額も、3月6日に販売を開始すると約2分で完売した。

ギネス世界記録公式認定員の寺西らら氏は「世界の漫画文化を牽引(けんいん)する日本でこの記録が達成されたことは、個人的にもとてもうれしく思います。制作そのものの過程でのご苦労はもちろん、測量士による正確な計測データや販売証明など細かく規定された証拠物をご提出いただく必要があり、認定されるまでの道のりは決して容易なことではありません。ご関係者様皆さまの熱い気持ちがあってこそのギネス世界記録の達成だと思います。本当におめでとうございます!」と祝福のコメントを寄せた。

担当編集の川窪氏は「宣伝部から提案を受けた際は『え、進撃ファンなら余裕で達成してくれるでしょ』と返答したものの、実際に価格と冊数を聞いて内心ドキドキしていました」と企画を持ち掛けられた当時を振り返った。その上で「結果は皆様ご存じの通り2分とかからず完売、そしてギネス達成となりました。価格に見合う素晴らしい本を作ってくださった図書印刷様と、いつでも一緒に作品を盛り上げてくれる進撃ファンの皆様に感謝します。ありがとうございます!」と喜んだ。

制作した図書印刷の平野雄三氏は「ギネス記録への挑戦に参画させて頂き大変光栄でした。世界屈指の人気コンテンツと日本の製造技術が一体となり、まさに世界に誇る『クールジャパン』を具現化させたような作品となったのではないかと感じています。本作と共に、これからも全世界に向けて巨人級のインパクトを与え続けていくであろう事を楽しみにしています」とコメントした。

「進撃の巨人」の単行本の最終34巻は、6月9日に発売される。通常版のほか、2種類の特装版「Beginning(ビギニング)」と「Ending(エンディング)」を刊行。特装版には小冊子がつき、「Beginning」には連載前の幻のネーム2話分が収録される。「別冊少年マガジン」創刊号への連載をかけた「連載会議」に提出されたネームで、諫山氏が連載獲得後に自ら構想などを練り直しため、連載版とは違う部分が多々あるが最終巻を記念して収録が決まった。「Ending」には、138話と最終話のネームが収録される。諫山氏によって原稿化されたが、実際に世に出たものとは多少違う部分もあるといい、打ち合わせや作画用の同氏のメモも収録。「Beginning」とともに電子書籍版の刊行も予定している。

6月9日には、オンライン上でキャラクターの半生を振り返ったり、厳選されたシーンをセレクトした展示などを公開する、オンライン展覧会(入場無料)が開催される予定。また「別冊少年マガジン」で8カ月連続で連載されているフルカラー版「進撃の巨人」を収録した単行本「進撃の巨人Full color edition」全4巻も、同日から3カ月間に1冊ずつ発売の予定。

さらにキャラクターブックの完全版「進撃の巨人キャラクター名鑑FINAL」も6月9日に発売される。5月9日発売の「別冊少年マガジン」6月号に一部が掲載される、諫山氏に3時間に及ぶインタビューを敢行した全文が収録される予定。そして同日発売の「別冊少年マガジン」7月号には、諫山氏と漫画家・荒川弘氏との対談が掲載される。