1960年代から90年代にかけ、TBSラジオ「TBSラジオ夕刊 若山弦蔵の東京ダイヤル954」などで活躍したラジオパーソナリティーで声優、俳優の若山弦蔵(わかやま・げんぞう)さんが死去したことが5月31日、分かった。88歳だった。関係者によると、5月18日に心不全で亡くなったという。

若山さんはスパイ映画「007」シリーズのテレビ放送で、ショーン・コネリーさん演じるジェームズ・ボンドや、「スパイ大作戦」でIMFリーダーのジム・フェルプス役の吹き替えを担当したことで知られる。

若山さんと親交のあったフリーアナウンサー生島ヒロシ(70)は31日、日刊スポーツの取材に答えて、ありし日の若山さんをしのんだ。

「僕がパーソナリティーを務めるTBSラジオ『おはよう定食/一直線』(月~金曜午前5時)のコーナーに、よく出ていただきました。オールディーズの曲を紹介するもので、若山さんにイントロから紹介していただきました。絶妙な声のトーンで、文言の見事さといったらなかった。曲に合わせて、自分で原稿を書かれていました」。

長男の俳優生島勇輝(37)の指導を頼んだこともあった。生島は「『申し訳ない。僕は弟子を取らないんだ』と断られましたが、その後も番組には、折に触れて出演していただきました」と振り返った。

若山さんから“粋”を教わったという。「食通でね。カニを食べたいと思ったら、札幌まで飛行機で行って食べて、帰ってくる。月曜から金曜まで帯番組を持っていたから、日帰りでも行ってくる。粋な大人の遊びを教えていただきました。パーソナリティーを務める番組でかける曲に関してはもちろん、食に関しても詳しい方でした」。

まだ、スポーツジムが一般に普及していなかった時代から、若山さんは通ってトレーニングをしていた。生島は「僕が、まだ駆け出しの頃に若山さんはジムで筋トレをしていました。『自分の声を守るためにはトレーニングしなくちゃいけない』と教えていただきました」。

最後に会ったのは、昨年「おはよう-」に若山さんがゲスト出演した時だった。「息子さんがTBSの制作会社にいて、僕の番組のディレクターをやってもらっているんです。優秀なディレクターなんだけど、お父さん譲りのいい声をしてるんです。『なんで後を継がないの』って聞いたら『おやじと一緒の仕事はできません、無理です』って言われました。偉大でしたからね、分かります」。

若山さんはTBSラジオで、1973年4月開始の「おつかれさま5時です」から「若山弦蔵の東京ダイヤル954」まで22年間にわたり夕方の番組のパーソナリティーを務めた。

生島は「夕方の5時に『お疲れさま、若山弦蔵です』と1日の終わりに心地よい声でなごませてくれました。ご冥福を祈ります」と話した。