第58回ギャラクシー賞(放送批評懇談会)が2日、都内で発表され、昨年6月11日深夜に放送されたフジテレビドラマ「世界は3で出来ている」がテレビ部門の大賞を受賞した。同局の大賞受賞は第27回(89年度)のドラマスペシャル「失われた時の流れを」以来31年ぶり。

作品は、昨年4~5月の緊急事態宣言解除後“ソーシャルディスタンスドラマ”の新手法で制作されたハートフルコメディー。唯一の出演者である俳優林遣都が三つ子の兄弟を演じ、それぞれの「思ってもみなかった3カ月」を描いた。

同賞では「三つ子それぞれの『思ってもみなかった3カ月』はコロナ禍を生きる人々への応援に満ちている。ソーシャルディスタンスへの挑戦と、面白さを両立させた離れ技でドラマの底力を示した」と選評を寄せた。大賞にドラマ作品が選ばれるのは、第51回(13年度)のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13年)以来。

演出を手掛けたフジ第一制作部の中江功氏は「まさかの大賞に驚いております。去年の最初の緊急事態宣言のころ、テレビや映画、演劇の方たちがそれぞれリモートで作品を出している時に、フジテレビも何かやるべきと企画を出しました」。企画から放送まで3週間弱で作った作品とし「深い時間の30分のドラマが評価されうれしい。予算や尺など、大作を作ればいいんじゃないんだとあらためて教えられた」と話した。

また「脚本の水橋文美江さんと『林遣都1人で行こう』と決め、見え方より内容だと意識して作った。林遣都がいなかったらできなかったし、水橋さんの本がなければできなかった」と感謝を述べた。