菅義偉首相(72)の素顔に迫ったドキュメンタリー映画「パンケーキを毒見する」(30日公開)初日舞台あいさつが30日、東京・新宿ピカデリーで行われた。舞台あいさつには、企画段階から映画の製作に関わり、出演もした元経産省官僚の古賀茂明氏(65)が登壇した。

古賀氏は「あまり言ったことがない」とした上で、19年に亡くなった作家で評論家の堺屋太一さんに誘われ、当時官房長官だった菅氏に会いに行ったエピソードを披露した。

「堺屋さんが『菅さんのところに行くから来てくれない?』と言われ、よく分からないけどついていったら『維新の政策について説明して』と。当時、ちょっと間違って橋下徹さんの手伝いとかしていた。しょうがないから、いろいろ説明したら、堺屋さんが『どうやったら維新と自民党とは協力していけるんでしょう?』と話をするわけです」

古賀氏は、堺屋氏と語り合っていた際の菅首相について「菅さんって、本当にしゃべらない。相手にしゃべらせて『そうですね、そうですね…あぁ、そうですか』みたいに終わっちゃう。本心を見せない。何の意味もない会合ですけど、そういうイメージ」と評した。

その上で「それが“令和おじさん”“パンケーキ”みたいな、優しそうなおじさんのイメージで、若者に人気と言われているが、全然、違うなと」と語った。

古賀氏は映画とのコラボ企画として「官邸の暴走(角川新書)」を出版した。その中で、菅氏をひと言で「頑固で攻撃的、改革する自分に酔うナルシシスト」と評しており「この映画で(そうした一面を)見ていただけるのでは?」とも語った。菅首相が最近、会見やぶら下がり取材で“キレる”など攻撃的な姿勢を見せていることについては「攻撃的だけど、形の上で誤るというのが増えている。以前は安倍(晋三)さんと、ほとんど同じで全く間違いは認めない」とした。

古賀氏は「本、全く宣伝していないのに売り切れ、売り切れでない。官邸が全部、買っちゃったんじゃないのか?」と苦笑した。その上で「今はコロナが、どんどん増えていいや…どうせ、国民はばかだから10、11月の選挙の頃には忘れるだろうと思っているはず。忘れてはいけない」と訴えた。