宝塚歌劇団の月組若手スター風間柚乃(かざま・ゆの)が7日、兵庫・宝塚バウホールで、初主演ミュージカル「『LOVE AND ALL THAT JAZZ』…ベルリンの冬、モントリオールの春…」(作・演出=谷正純)の初日を迎えた。18日まで。

ほほ笑み、慈しみ、深い愛…どこか憂いを秘めたたたずまいから放つ笑みだけで複数の表現法を持つ。下級生時代から芝居心のあるスターとして注目されてきた風間が、ナチスの支配から自由を求めて逃れようとするジャズピアニストを好演した。

今作は、谷正純氏の作・演出。第2次世界大戦下のベルリンを舞台に、ナチス政権下で禁じられたジャズを愛し、ユダヤ人の娘を守ろうと命をかけたドイツ人ジャズピアニストのルーカスを中心に描く。

父からキャバレーを受け継いだルーカスは、店へ逃げ込んできたユダヤ人の娘レナーテをかくまい、運命が大きく動く。ヒロインのレテーナは4年目のきよら羽龍が熱演を見せた。

前日6日夕には、同劇場で通し稽古を行い最終チェック。稽古終了後、風間は先輩らも見守った客席に向かい「このDRに来ていただき、ありがとうございました」とあいさつし、感謝。「初日から千秋楽まで精いっぱい、一丸となって頑張って参りたいと思います」と誓った。

風間は14年入団の100期生。コロナ禍で1年延びた新人公演最終学年(今年は8年目まで)でもある。宝塚音楽学校時代の文化祭でも、芸事の家系に生まれた血筋ゆえか、芝居巧者ぶりを発揮して注目を集めた。入団後は月組に配属。18年「カンパニー」で新人公演初主演を果たした。

同年の大作「エリザベート」では、皇太子ルドルフを演じ、新人公演は狂言回しの大役ルキーニを好演。先輩スターの休演にともない、本公演でもルキーニ役に抜てきされると、当時研5(5年目)とは思えない落ち着いた芝居運びで、ルキーニの狂気も表現した。

19年には、先日退団した轟悠の主演作「チェ・ゲバラ」で2番手格の役柄に入り、轟の相棒を務め、若手注目株として、期待は高まっていた。【村上久美子】