歌舞伎界からは尾上菊五郎(79)が文化勲章に選ばれ「不器用な私に懇切丁寧にご指導くださった先輩方、父(尾上梅幸)のおかげ。ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。オリンピックの年に歌舞伎界が金メダルをいただいたよう。一生忘れられない年になりました」と喜んだ。当たり役は数多く、復活狂言や新作にも積極的に取り組む。「色気、艶、愛嬌(あいきょう)、江戸っ子かたぎを研究したい。まだまだ発展途上」と語った。妻で女優富司純子へは「手綱を引っ張ったり、緩めたり、時々放牧してくれたり。感謝の一言です」。

◆文化勲章と文化功労者 ともに「文化の発達に関し特に顕著な功績のある方」を指す。文化勲章は1937年(昭12)に制定。文部科学省が選考し閣議決定する。文化功労者は文化勲章に次ぐ栄誉。51年、勲章では年金支給できないことが憲法で定められていることなどから、文化功労者年金法によって制定された。文部科学大臣が候補者を文化審議会に諮問し、同大臣が最終決定する。現在は年額350万円の終身年金が支給される。文化勲章は前年度までの文化功労者の中から選ばれる。