歌手叶純子が3年ぶりの新曲「ああ…大阪」を発売した。大阪の淀川近くのアパートで暮らす男と女の物語を情感たっぷりに歌い上げている。06年に64歳で亡くなった歌手、黒木憲さんとのデュエットで81年に歌手デビュー、翌82年のソロデビューから来年は40周年を迎える。新曲への思いと歩んできた道のり、そしてこれからを聞いてみた。

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81年に黒木憲&NANCYで「粋な夜」を発売してデビュー。伊東ゆかり「小指の想い出」、安倍里葎子「愛のきずな」、八代亜紀「なみだ恋」などで知られる作曲家の鈴木淳氏にスカウトされた。

「子供の頃から、歌は大好きだったんです。でも、田舎住まいで歌手になろうなんて考えたこともありませんでした。山口県の防府で働いていました。ある時、新聞社主催のカラオケ大会に出て演歌の部門で優勝。それが地元版の新聞に出たんです。そうしたらカラオケ喫茶をやって、歌を教えている方から電話が来て『月謝もいらないから、時間が空いている時に、なんでもいいから遊びに来て。お茶でも飲んで、歌を歌って』と。そのカラオケ喫茶に2、3カ月後に鈴木淳先生が入ってきて『君、面白い声をしているね。歌うまいから、本物の歌手がレコーディングしてるスタジオで君の声を録ってあげるよ』と。それが口説き文句、スカウトでした。でも、それでプロになれるとは思いませんでした。先生が帰ってから、もらった名刺を周りの人に見せて、すごい人なんだっていう感じでした」

デビュー曲は、ビッグネームの黒木さんとのデュエットで売れた。翌年にはソロデビュー。

「子供の頃に憧れていたのが八代亜紀さん。その八代さんの大ヒット曲を作曲している鈴木先生が、黒木憲さんとのデュエットで必ずデビューできるからって言うので思い切って上京しました。デビュー曲がある程度売れて、当時はキャンペーンに行くと、1日でレコードが1000枚売れました。それだけ、レコードが売れた時なんですよね。キャンペーンで日本中に行かせていただきました。海外もハワイとかラスベガスとか。営業で呼んでいただいたんです。ロサンゼルスの日本人会の方が呼んでくれて、日米劇場というところで歌ったりしました。時代も、これからバブルに突入する一番いい時代でした」【小谷野俊哉】

(続く)

◆叶純子(かのう・じゅんこ)山口県萩市生まれ。山口県防府市で美容師見習い中、作曲界の鈴木純氏にスカウトされて上京。81年に故黒木憲さんと、黒木憲&NANCYで「粋な夜」を発売してデビュー。翌82年に「酔いどれ涙酒」でソロデビュー。1997年にフジテレビ系連続ドラマ「はるちゃん」の挿入歌「おまえさん」発売。19年にプロマージャン士・灘麻太郎とのデュエット「あゝわっかない」発売。153センチ、84-60-88センチ。特技は洋裁、資格は美容師。