「第34回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」が昨年12月28日に日刊スポーツ紙面とニッカンスポーツ・コムで発表されました。発表当日に掲載しなかった部分も加えて、受賞者インタビューでの言葉をあらためて掲載します。

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2021年が女優デビュー6年目の駒井蓮(21)が新人賞を受賞した。地元青森を舞台にした初の単独主演映画「いとみち」(横浜聡子監督)では津軽弁訛りのある主人公、相馬いと役で繊細な演技を印象づけた。テレビ朝日系ドラマシリーズの初映画化作品「科捜研の女-劇場版-」(兼崎涼介監督)にも出演。駒井は「すごく驚きましたし、本当にうれしい。今年はいろんな作品で1つ1つ挑戦してきたので、携わってくださった方々に感謝しています」と受賞を喜んだ。

飛躍の年になり「作品に関わることで、自分の生まれ故郷の人と関わることもすごく多くて、自分を振り返るきっかけにもなりました。どんな風に育ってきて、この業界に入ってからも地元の人に支えられたと思った1年でしたし、課題が見つかった1年でもありました」と語った。

挑戦の中で学んだことの1つが「顔の使い方」。顔の左右差や、まばたきのタイミングなど映り方や動かし方を研究した。「細かな動きで感情が伝わりやすい顔をしているから効果的に使った方がいいと教えてもらって。普段も黙っていると『怒っているみたい』と言われたことがあって。口を開けて笑顔を作るようにしています」と笑った。

デビューのきっかけは中学生の頃に家族旅行で東京を訪れた際に受けたスカウトだった。4人姉妹の3女で、姉らと原宿の竹下通りを歩いていた時に声をかけられた。もともと芸能界には興味があり「青森で何かコンテストに出ようにも踏み出せなくて。そうしたらスカウトしていただいて。『君やってみない?』って言われて。はいって言いました」。

高校1年生の頃に慣れ親しんだ青森から東京へと移った。「最初は異世界かと思ったんですよ。ビルが本当に高くて、宇宙か近未来かぐらいに思った」。ふわふわとする気持ちを抑え、仕事にも学業にも全力を注いだ。「私は頑固で負けず嫌い。できないって言われると意地を張っちゃうタイプ」。もともと英語が得意で、文章や絵を描くことが好き。「テストとかもいくら忙しくても、大変でもやるぞと。時間が無くて、どうしようって時に集中力が上がったりします」。意思を貫き、一般受験で慶大文学部に見事合格を果たした。

女優業の傍ら、最近はキャンパス周辺のラーメン屋めぐりにもハマっている。「学校の友達と、あの組み合わせがいいとか、コメントと順位を個人的につけてます。こってり系で、にんにくが入っているのが好き。ラーメンを食べるために普段の食を抑えているぐらいです」と笑った。

NHK大河ドラマ「青天を衝け」に出演するなど、活躍の場は広がっている。今後については「明るい役が多かったので、ちょっと影があるとか、ダークな役もやっていきたいです。自分の視野の外側にある役に飛び込んでいきたい」と意気込んだ。【松尾幸之介】

※兼崎監督の「崎」は正しくは崎の大が立の下の横棒なし

 

◆駒井蓮(こまい・れん)2000年(平12)12月2日、青森県出身。中学時に家族で東京を訪れた際にスカウトされ、高校1年で上京。16年映画「セーラー服と機関銃-卒業-」で女優デビュー。芸能活動と並行しながら大学受験に臨んだ。18年にEテレ「NHK高校講座 国語表現」出演。ファッション誌「ニコラ」専属モデル。趣味は絵や文章を描くこと、舞台鑑賞。4姉妹の3女で双子の妹がいる。168センチ。

◆「いとみち」 青森県弘前市で暮らす高校生のいと(駒井蓮)の特技は、祖母と亡き母から受け継いだ津軽三味線。しかし、学校では人見知りで自分を出せず、もやもやした日々を過ごしていた。いとはメイドカフェでアルバイトを始め、廃業危機に立ち向かう。

◆「科捜研の女-劇場版-」 京都から広がった死の連鎖に、マリコ(沢口靖子)ら科捜研、捜査1課の土門刑事(内藤剛志)が立ち向かう。不審な転落死の解明のためマリコは帝政大学の微生物学教授・加賀野(佐々木蔵之介)に会う。研究室には大学院生(駒井蓮)らがいた。