タレント脊山麻理子(41)が時代劇初挑戦となる舞台「会津嶺の鐘」が9日、東京・渋谷区文化総合センター大和田伝承ホールで開幕した。脊山はこのほど日刊スポーツの取材に応じ「私が出てくると空気が変わると思うので、それを楽しんで欲しい」。異色の経歴でまとった個性を武器に、14日の千秋楽まで駆け抜ける意気込みを示した。

演じるのは幕末の悲運の女性、神保雪子。会津藩士の夫が汚名を着せられ自害に追い込まれた上に、自らも戊辰戦争で戦死したと伝えられる。時に世間の目にあらがう生きざまについて「地元でもうわさが立って少し浮いてしまうけど、途中から理解してもらって味方が増えるのが、何か自分の人生と重なる。不器用な感じとかは出せるかな」。一方で、なぎなたの扱いなどでは少し苦労も。「所作とか振る舞いは特訓しました。男性相手に1対6で戦う殺陣は難しくて」と笑った。

日本テレビアナウンサー時代の経験も生きている。「覚えるのは得意。番組でもアナウンサーとして役割を演じている、その感覚は近い。滑舌とかセリフを間違えることもあまりない。やっぱりアナウンサーをやっていて良かったです」。 今回の舞台出演も、局アナ時代に番組「ラジかる!!」で共演した賀集利樹(43)が主演する縁がつながり、役に恵まれた。舞台の魅力について「1カ月とか、その役で居続けることが、テレビと全然違う。期間中、その役柄がしゃべっている口調とか、セリフが会話で出てきちゃって。本当におもしろい」と語る。

初舞台で初主演となった20年「忍びよる偲びの夜」でも、脚本・演出のヘドロットン(2丁拳銃・小堀裕之)や制作陣から「イメージに合う」と、愛人役のオファーを受けた。「舞台の演技は初体験だったんですけど、そのまま、素の気持ちでしゃべれる。役作りに困ることもなかった」と振り返った。

社会人経験も強みにしている。「ベースに日本テレビで習ったことがあるから、どこでも挑戦できるというのはある。ごあいさつとか、スタッフさんとのやりとりとか。どうやってお金が流れてくるとか。普通に先に芸能界に入っちゃうと知る機会がないじゃないですか。いろんな人が関わっていることを知ると、関わり方が全然変わる」と話している。

転身後はセクシーな写真集などでも注目された。舞台、時代劇という新境地を得ながら、これまでの「脊山麻理子像」も、ニーズがある限り、演じ続ける覚悟だ。「グラビアも舞台も似ていて、テーマがあって、世界観とかある。その世界観を演じる、みたいなのは得意なんだと思います」。アナウンサー、タレントに加わった舞台女優の肩書。今後について「舞台もご縁があったらやらせてもらいたい」と今後も意欲を見せつつ「グラビアもバラエティー番組も、全然やります」と力強く宣言した。

◆脊山麻理子(せやま・まりこ) 1980年(昭55)4月8日、東京生まれ。慶大卒。04年、日本テレビに入社し「Oha!4 NEWS LIVE」などを担当。10年退社後はタレントとして活動。16年には女子プロレス「スターダム」にも参戦。写真集は昨年7月発売「MILK」(ワニブックス)など。趣味のカメラでは過去に日刊スポーツ紙面に作品も掲載。身長165センチ、血液型B。