押井守監督による映画「血ぃともだち」の一夜限りの上映会が先日都内で行われた。チケット即完売となった話題の上映会だった。

撮影されたのは4年前。唐田えりか、尾碕真花、天野菜月、日比美思の4人が主役で、高校の献血部の生徒たちが、ヴァンパイアを自分たちの血で養おうとする物語。監督絶対主義を掲げる映画実験レーベル「シネマラボ」の作品で、本来なら、同レーベルの第1弾になるはずだった。その後、コロナ禍による4回もの公開延期などもあり、ようやく上映会にこぎつけた。

押井監督は「4年前の映画なので、いろいろありまして、とにかくいろんなことがありまして。こんなにたたられた映画初めて」と、感無量というより、やれやれといった思いを吐露した。

押井監督によると、同作は「自分らしくない作品」だという。「今まで撮った作品とは違って、普通の女子高生の作品です。ひねりまくったものを期待されるとがっかりするかも」を話した。生き生きした女子高生を撮るため、途中、出演者たちにスマホを渡して自分たちで撮ってもらった場面がワンシーンあるという。押井監督は「実はこのシーンが気に入っているシーンになりました」とも語る。

一夜限りとはなんとももったいない。今後、配信やDVDで多くの人に見てもらえるようにと思っている。【小林千穂】