米アカデミー賞の前哨戦の1つとして知られる第28回米映画俳優組合賞(SAG賞)の授賞式が27日、サンタモニカのバーカー・ハンガーで開催され、映画「コーダ あいのうた」が最高賞のキャスト賞に輝いた。

仏映画「エール」(14年)のリメークである同作は、来月27日に発表されるアカデミー賞でも作品賞を含む3部門にノミネートされている。聴覚障がい者の家族の中で唯一の聴者である少女が、歌の才能に目覚め夢に向かって踏み出していく物語。同作からは父親役のトロイ・コッツァーも助演男優賞を受賞した。男性のろう者俳優として初のSAG賞受賞となったコッツァーは手話で受賞スピーチを行い、作品の関係者や長年サポートしてくれたSAGに感謝の言葉を述べた。

また、主演男優賞には「ドリームプラン」で米テニス界のスター選手ビーナス姉妹を育てた父親を演じたウィル・スミスが、主演女優賞には全米で最も成功を収めたテレビ伝道師を描いた「タミー・フェイの瞳」のジェシカ・チャスティンが輝いた。助演女優賞は「ウエスト・サイド・ストーリー」のアリアナ・デボーズが受賞した。

授賞式では「DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機」でテレビ映画・リミテッドシリーズの男優賞を受賞したマイケル・キートンが、檀上でロシアによる侵攻を受けたウクライナのコメディー俳優だったゼレンスキー大統領を「仲間の俳優」と呼び、ウクライナ支持を表明。

また、ドラマ部門のアンサンブル賞を受賞した「キング・オブ・メディア」に出演する俳優ブライアン・コックスも「戦争は本当にひどいことだ」とロシアを非難し、ロシアの俳優仲間や芸術家たちがウクライナについて発言することができず苦しんでいる現状を訴え、ハリウッドの仲間たちに「彼らとともに立ち上がろう」と訴えた。(ロサンゼルス=千歳香奈子)