3月末でフジテレビを退社し、4月から吉本興業とマネジメント契約を結んだ久代萌美アナウンサー(32)のロングインタビュー最終回。契約に至るまでの心境や、夫で人気YouTuberの、はるくん(26)との生活で感じたことに続き、今回は吉本加入後の周囲の反応や、今後の夢について聞いた。

インタビューは全3回に分けてお届けする。【取材・構成=松尾幸之介】

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吉本ではアナウンサーの肩書を残しながら、タレントに近い形でテレビなどに出演することも増えた。初めての経験だが、周囲からは「すごく生き生きとしている」と声をかけられるようになったという。

「局アナ時代は、あんまり自分の話をできない、しないことをモットーに周りの人に話を振ることを考えて働いていました。吉本に入って以降は、最初は申し訳ないなと思ってちょっと引きめに話していたんです。でも、ここで話さないとそれが仕事だからと。吹っ切れてくると自分のエピソードを話すのも楽しくなってきて。だから表情が変わってきたのかなと思っています」。

かつては報道志望であることも公言していた。しかし、今はその気持ちは薄らいでいるという。

「報道志望で10年間アナウンサーをやってきて、あんまり成功しなかったので。やっぱり視点を変えなきゃなと思って。以前、テレビ番組でアドバイスされたのが『なりたい自分と、自分の個性に合った目指した方がいい方向というのは違うんだよ』と言われたのがすごくしっくりきて。私の憧れは安藤優子さんとかみたいな報道キャスターなんですけど、私の個性とかを考えた時に、そこを目指すのは果てしなく懸け離れている。そこを諦めて、自分の個性に近い目標を立てた方が大成するって言われたんですよ。自分の個性は多分そっちじゃないんだなって10年たってやっとわかったので。ちょっとバラエティーも頑張ってやっていこうかなと思って。今は報道にはふたをしました」。

自分にはバラエティーが合っているんじゃないか。そんな思いがキャリア選択の道しるべにもなった。今は自身が出役になる時もあれば、MCとしてまとめる立場となることもある。芸人らの姿をより近くで見るようになり、尊敬の気持ちも高まっているという。

「生でライブとかを見ると、芸人さんのすごさを身近に感じられます。舞台袖からステージに上がっていく背中がめちゃくちゃかっこいいんですよ。ピリピリした真面目な顔をして、直前まで相方さんと耳打ちで話し合ったりして。最後に肩をパンパンってたたいて、闘志むき出しみたいな感じで上がっていく。壇上ではおちゃらけているんですけど、あの後ろ姿はすごくかっこよくて。尊敬していますね」。

アナウンサーの枠にとらわれることなく、変幻自在のスタイルで活躍する。今後も長く仕事も続けていきたいといい、目標には「やっぱり吉本の看板アナウンサーになりたい」と掲げた。「吉本には芸人さんだけでなく、文化人やスポーツ選手とかもたくさん所属しているんです。そっちも強いんだよというのを示したいですし、芸人さん以外で、看板は久代がいるよって胸を張って言いたいですね。将来はアナウンサーの育成とかもしてみたいなと思っています。吉本のアナウンサーを管理する人みたいな。いつかなりたいですね」。

吉本にとっても久代アナにとっても、新たな歴史の1ページになる。明るい未来を見据えて、これからも目の前の仕事に全力で取り組んでいく。(おわり)

 

◆久代萌美(くしろ・もえみ)1989年(平元)10月6日、東京都生まれ。首都大学東京(現東京都立大)時代は細菌の研究などに励んだリケジョで、12年フジテレビ入社。「笑っていいとも!」「さんまのお笑い向上委員会」「ワイドナショー」などにレギュラー出演し、22年3月末に退社。吉本入り後はBSよしもとの「別冊!CHEF-1グランプリ~出場者の店全部食べます!~」のナレーションのほか、バラエティー番組などにも出演。趣味はドラム、料理、アニメ・ドラマ観賞。162センチ。血液型A。