拓郎、見納め-。シンガー・ソングライター吉田拓郎(76)が、来月21日に5年ぶりに復活するフジテレビの音楽バラエティー「LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP」(午後8時)で、最後のテレビ出演をすることが24日、分かった。これまでに各所で、今月29日発売のアルバム「ah-面白かった」をもって「52年のアーティスト活動にピリオドを打つ」ことを表明。番組を共にしてきたKinKi Kids堂本光一(43)堂本剛(43)らと、花道を飾る。

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拓郎は、剛と光一に感謝を示しながら、ラスト出演への思いを語った。「僕は年齢的にも2人より全然上で、いろいろなことをリタイアしたいなと考えていまして。そういう意味で、テレビとのお付き合いも『LOVE LOVE-』で最後にしたいな、と随分前からありました。とてもすてきな有終の美を飾れそうで、とても幸せ、皆さんに感謝しています」と話している。

ラストと銘打っている最新アルバムも「ah-面白かった」と示唆に富むタイトル。現時点でライブは予定されておらず、関係者によると、現在月1回で放送されているニッポン放送「吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD」も年内終了の方向という。楽曲のみならず、野外コンサート、レコード会社設立などの開拓精神にあふれた、日本のシンガー・ソングライターのパイオニアは、自らの節目も自ら決断した。

拓郎は19年ごろに「ツアーからのリタイア」を表明。今年1月の「オールナイトニッポン-」でも、その点に触れ「無観客、ソーシャルディスタンスで立つな、声を出すなという取り決め、環境では満足なライブが期待できない人間。僕自身の年齢と声を考えると、シャウトを使うソウル系のシンガーと自負してて、小さい声でこそこそ歌う歌手じゃない。声の問題、のどの問題というのは出てきて、満足なライブをやる自身というのは正直、だんだん薄くなってきていて。ごまかしてやるなら90歳でも100歳でもやってみせるけど、そういうシンガーじゃない」と自身の近況を語っていた。03年に肺がんを公表、14年にのどのがんも経験している。

「LOVE LOVE-」は96年10月から01年3月までレギュラー放送。CDデビュー前のアイドルとニューミュージック旗手の斬新な組み合わせは当初、異色ともとらえられたが、吉田が作曲した番組テーマソング「全部だきしめて」共演で、KinKiの音楽への情熱を受け止めた拓郎の代表的番組に。17年に一夜限りで復活した同番組も最終回となる。“卒業式”にはレギュラーだった篠原ともえや、THE ALFEE坂崎幸之助らが出演し、拓郎とKinKiの3人が初の合作に挑んだ楽曲「Sayonara あいしてる」を披露する。

◆吉田拓郎(よしだ・たくろう)1946年(昭21)、鹿児島県生まれ、小学時代から広島市で育つ。広島商科大卒、70年に上京。同年、よしだたくろうとして「イメージの詩」でデビュー。72年「結婚しようよ」が大ヒット。74年に森進一に提供した「襟裳岬」が日本レコード大賞受賞。同年、ニッポン放送で初の冠番組「吉田拓郎のオールナイトニッポン」開始。75年には井上陽水、泉谷しげる、小室等とともにフォーライフレコードを設立。94年「外は白い雪の夜」でNHK紅白歌合戦初出場。03年に肺がんを公表、14年にのどのがんが分かり治療していたことをその後明かした。86年12月に女優森下愛子と結婚。血液型A。