タレント小堺一機(66)が、24日に初日を迎える、俳優でお笑いコンビあさりどの川本成(48)が主宰する劇団「時速246億」の舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム・ファイナル」(東京・新宿「シアターサンモール」)に出演する。

2016年(平28)に初演で再演、続編、そして配信で上演された人気シリーズのファイナル。師匠・萩本欽一(81)の欽ちゃんファミリーの弟弟子の川本のラブコールに応えた。このほど、小堺と川本が日刊スポーツの取材に応じた。【小谷野俊哉】

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テレビのバラエティー番組は今、大きな曲がり角を迎えている。痛みを伴う笑い、いじめと取られるツッコミは出来なくなりつつある。

小堺「大将(萩本)がよく言ってたのが、ぶたれて『かわいそう』と言われるのは、ぶたれたやつが下手だからだ、と。痛そうにしちゃうからダメ。それを今の子は、習っていないと思う。パーンと頭を後ろからぶたれても(不思議そうに)上の方を見上げたりするんですよ。そうすると、いじめられたことにならないから。そして、それから『いてぇな!』ってやるんです。それで『感じないのか、お前は』っていう笑いになるんです。すぐに『痛い』って言っちゃうのは、大将が言うところの“近い”なんですよ。パンとぶたれて、すぐに『いてぇな』と返しちゃう。腕がないんですね」

萩本に教えを受け、小堺が1984年(昭59)から司会を務めた「ライオンのいただきます」のプロデューサーを務めた、フジテレビの三宅恵介エグゼグティブディレクター(73)からも同じような指摘を受けたことがあるという。

小堺「三宅さんが、前に言ってたんだけど『ノリツッコミがいなくなった』って。『なんとかなんとかで、そうなんだよね、なんとかなんとで…違うよ!』と。今は『違うよ!』って、すぐに言っちゃう。だから“早い”って言われちゃう。『遠くやれ』って、大将によく言われました。僕とか関根(勤)さんは『コメディアンになりたいの』って聞かれて『はい』って言ったら『じゃあ、ギャグやっちゃダメって』言われたの。散々、自分はやってたのにと思ってたら『あれは困ってやっただけだから』って。『渥美清さん知ってるだろ。寅さん、ギャグ言わないだろ。“ただいま”が面白いんだよ。普通のセリフで笑わせるのが、コメディアン』って言われて、はぁ確かにと思いました。今、大将はYouTubeで『軽演劇をちゃんと伝えたい』って言ってるんですよね」。

師匠の思いを弟子2人が受け継いでいく。お笑いのステージではなく、芝居で共演するのは初めてとなる。

川本「いや本当に、稽古で普通にセリフをやりとりしていても『小堺さんだ』って、やっぱり思っちゃいますよね。自分で頼んでおいてなんですが、不思議ですし、うれしいですよね。まさか僕の演劇に、小堺さんが出てくれるとは。大将の耳にも入ったみたいですし」

小堺「何!? 言っちゃったの? ダメですよ(笑い)」

川本「若いお客さんが多いし、テレビで見ている小堺さんを目の前で見られるんで、喜んでくれると思います」

小堺「いやいや、邪魔しないようにね。テレビで散々見慣れた人を、実際に生で見ると、やっぱり実在するんだみたいな感じになるんですよね。僕ね、もう卒業したんだけど、こじるりちゃん(小島瑠璃子)と関ジャニの丸ちゃん(丸山隆平)と毎日放送で『サタデープラス』っていう朝の番組をやっていたんですよ。うちの娘たちが関ジャニ大好きで、こじるりちゃんも今を時めく人じゃないですか。その2人に『よろしくお願いします』って言われて『小堺さんて本当にいるんだと思いました』って言われて。え、何、それと思いました。こんなのそこら中にいるでしょ(笑い)」(続く)

 

◆小堺一機(こさかい・かずき)1956年(昭31)1月3日、千葉県生まれ。77年、TBS系「ぎんざNOW!」の素人コメディアン道場で優勝。専大卒業後、勝アカデミーを経て、80年浅井企画。82年テレビ朝日系「欽ちゃんのどこまでやるの!」での関根勤とのコンビ「クロ子とグレ子」でブレーク。84年10月からフジテレビ系のトークバラエティー「ライオンのいただきます」の司会に抜てきされ、16年(平28)3月の「ライオンのごきげんよう」終了まで31年半務めた。現在、BSJapanext「アプリで生判定!地域創生プレゼンバトル」、J:COMチャンネル「ジモトに乾杯!居酒屋小堺クン」、JFN「おうちで~CINEMA~」など。バラエティー、ドラマ、舞台、ラジオなど幅広く活躍。165センチ。血液型A。

 

◆川本成(かわもと・なる)1974年(昭49)7月13日、鳥取県生まれ。91年(平3)4月、萩本欽一主宰「欽ちゃん劇団1期生」合格。94年に堀口文宏と「あさりど」結成。94年から3年間、9代目いいとも青年隊としてフジテレビ系「笑っていいとも」出演。07年から劇団「時速246」を主宰、10年に「時速246億」に改名。16年舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム」主演。18年舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム2018」「バック・トゥ・ザ・ホーム2」。20年配信で舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム・ハーフ」。趣味は楽器いじり、古着収集、プロレス。168センチ、血液型O。