NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)で善児を演じる梶原善(56)が、このほどオンラインで日刊スポーツなどの取材に応じた。28日放送の第33回「修善寺」で演じた、善児の壮絶な最期について語った。

善児は脚本を手がける三谷幸喜氏のオリジナルキャラクターで、これまで千鶴丸や北条宗時、伊東祐親親子ら数々の登場人物をあやめてきた。第33回ではターゲットの源頼家(金子大地)に一太刀浴びるが、最後は後継者のトウ(山本千尋)にトドメを刺されて絶命した。

善児は源範頼(迫田孝也)暗殺時、その場にいた農民夫婦も手にかけているが、その娘がトウだった。孤児となったトウを育ててきたが、弟子に殺される展開について梶原は「いつかこんな日が来るだろうなと思っていた。トウと暮らす設定をいただいた時から、僕自身の希望としてトドメを刺されるならトウがいいなと思っていた」と話す。また「あそこまで劇的な最期を迎えさせていただいて、それはうれしいことでした」と振り返る。

善児は、第32回「災いの種」で義時に殺害を命じられた頼家の長男・一幡を殺すことができず、「わしを好いてくれている」と涙を流した。第33回では頼家ともみ合うシーンで「一幡」と書かれた紙が視界に入り、一瞬の隙をついて斬られることになる。淡々と任務をこなしてきた善児の心境の変化については「トウや一幡との生活は描かれていないけれど、ただ、あれだけ偏屈な善児が心変わりした。山を歩いて木の実を採ってやったり虫を捕ってやったり、『夏休みの田舎での楽しいひととき』みたいなものがあったんじゃないか。情がわいて、一瞬気持ちが揺らいで隙ができてしまったのでは」と想像する。

終盤、頼家に迫るシーンでは「とにかくたっぷりやって欲しいという監督の演出だった」といい、「善児のようなものにお時間をいただいて、ありがとうございますという感謝の気持ちです」。善児の絶命シーンで物語の幕が閉じたことにも、「『鎌倉殿』の中でも一番身分の低い善児という男が、NHK大河ドラマのラストカットにいられるなんて、いまだかつてあったのかな。その辺りも、三谷さんすごいな」と笑顔で語った。【遠藤尚子】