唐田えりか(24)と遠藤雄弥(35)の主演映画「の方へ、流れる」(竹馬靖具監督)の公開が11月26日に決まった。8日、ポスターと特報映像が公開された。唐田は、20年3月のNHK BSドラマ「金魚姫」以来、女優業を休業していた。21年9月に短編映画が発表されたものの、20年公開予定だった映画が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で公開延期を繰り返した末、今年に入って一部で限定上映されたのみ。出演した長編映画の公開は、19年5月の「チア男子!!」以来、3年ぶりとなる。

唐田は、オーディションで主演に選ばれた。「竹馬監督とは本作のオーディションの際に初めてお会いしましたが、自分の声を芯の部分から真に聞いてくださる方で、演出していただきながら、自然と心が開き、自分が限りなく自分になっていくのを感じました」と竹馬監督に感謝した。

「の方へ、流れる」は、会社を辞めて姉の雑貨店で店番をする里美と、そこに現れた恋人を待つ智徳が、店を出て東京の街を歩きながら語り合う。「お互いのことを知らないから言えることもある」2人が、互いに話していることが、事実なのか分からないまま、ひかれあっていく物語。唐田は劇中で、思ったことを素直に口にしているようで、どこか本音がつかめない里美を演じる。

解禁されたポスタービジュアルは「嘘でもいい」というキャッチコピーとともに、1日の終わりに東京・隅田川のほとりで会話をする、唐田演じる里美と遠藤演じる智徳の写真が使われた。約45秒の特報では、何も知らない相手と1日を過ごすことになった2人が、偶然な出会いを利用して、普段は気軽に人に言えないようなことを互いにぶつけていく姿が収められている。その中には、隅田川のほとりで、里美が智徳と見つめ合う中

「意外と大胆だね」

と語りかけて

「ごめん」

と返される場面のほか、唐田が口にする

「ウソ、ついたんだ」

「本当のこと、言ってはダメ? もっと気休めになること、言えばいいの?」

「また、ナンパ?」

などの里美のセリフも収録されている。

唐田演じる、ミステリアスな里美に戸惑いながらも、引かれていく智徳を演じる遠藤もコメントを発表した。

「今回、竹馬監督、共演者の唐田えりかさんと御一緒できた事をとても光栄に思いました。竹馬監督が紡ぎ出す、なんとも独特な男女のやりとりに、どういった映画になるんだろう?と胸を躍らせながら脚本を読んだ記憶があります。監督の思い描く世界観と演出も独特でした(笑い)。個人的には初めてに近い表現のアプローチでもあり、とてもやりがいのある作品でした。その独特さも、作品を観ていただけたら、わかっていただけると思います。今作における、男女2人の内側に巻き起こっている、いろいろな感情と思考を、少しでも皆様にああでもないこうでもないと感じてもらえたら幸いです」

竹馬監督は

「唐田えりかさんと遠藤雄弥さんの演技をもっと見ていたかったです。それくらい深く響く演技をおふたりがしてくださいました。会話を中心として物語が進んでいくので、撮影中カメラの後ろからおふたりの掛け合いを凝視しているのは多くの発見がありとても豊かな時間でした。スタッフキャストの皆がこの映画の完成に尽力してくれた事を心から感謝しています。映画『の方へ、流れる』を、ぜひ劇場で見ていただけたらうれしいです」

と、2人の演技の素晴らしさを強調した。

唐田は、女優業を休業する中、20年12月19日発売の月刊誌「日本カメラ」(日本カメラ社)2021年1月号から「フィルムカメラ好きの女優がつづる写真エッセー」と題した新連載「mirrar」をスタートも、21年4月20日発売の5月号をもって同誌が休刊。その後は、同年9月のファッションショー「Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 S/S」で発表された短編映画「something in the air」に主演。20年4月には主演映画「血ぃともだち」(押井守監督)が公開予定だったが、コロナ禍で4度の延期を余儀なくされた末、今年2月に都内で一夜限りの限定上映されたのみだった。

唐田は「の方へ、流れる」の公開に向けて「里美を演じさせて頂けたこと、本当に感謝しています。不思議な引力のある本作を公開まで楽しみにして頂けたら幸いです」とコメントした。23年春には短編映画「真夜中のキッス」の公開を予定している。