英国のエリザベス女王が8日に死去したことを受け、チャールズ新国王がこれまで暮らしていたロンドンにある旧公邸「クラレンス・ハウス」の職員およそ100人をリストラしたことが分かった。英ガーディアン紙が報じた。

チャールズ国王は、クラレンス・ハウスからバッキンガム宮殿への転居準備が進められており、長年にわたって国王に従えてきたベテランを含む約100人の職員が解雇通告を受け取ったという。多くの職員は新しい居住地でも引き続き働けることを期待していたといい、報道を受けて混乱が生じているという。

解雇を通告されたのは、主にクラレンス・ハウスの広報チームや私設秘書、財務担当、家事などを担ってきた職員だという。その多くが国王のために何十年も働いてきたというが、宮殿の広報担当者は「余剰人員の解雇は避けられない」と語っている。

報道によると、女王の死去後のさまざまな行事や行動を定めた「ロンドン橋作戦」と呼ばれる綿密な計画が滞りなく行われるよう毎晩夜遅くまで働いている最中、突如解雇通知を突き付けられたことに職員たちは激怒しており、労働組合は「極めて冷酷」だと批判している。

一方、チャールズ国王とカミラ王妃に直接的に緊密な立場で個人的なサポートを行ってきた職員は引き続き雇用されるという。

クラレンス・ハウスの報道官は、国王への即位に伴ってクラレンス・ハウスでの公式活動を停止したことを認め、解雇対象となる職員には再就職の支援や手厚い解雇手当の支給が行われると説明。正式な解雇までには少なくとも3カ月の猶予もあるという。

関係者によると、葬儀が終了するまで通知を遅らせるようあらゆる努力が行われたというが、法的助言をあおいだ結果、早急に通知する必要があったと述べている。しかし、喪中の最中のあまりに早いスピード解雇やその人数の多さから、「血も涙もない」との批判が広がっている。

国王がバッキンガム宮殿に住むのか、その他に所有する宮殿に居住するのかは現時点では正式な発表はされていない。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)