浅田次郎氏のベストセラー小説「蒼穹の昴」を初舞台化した宝塚歌劇の雪組公演「グランド・ミュージカル 蒼穹の昴」が1日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。清朝末期の中国・紫禁城を舞台にした一本もの。雪組トップ彩風咲奈は、科挙の試験に首席合格し改革派の梁文秀にふんした。

彩風はトップ本拠3作目。1作目が「CITY HUNTER」、2作目は「夢介千両みやげ」で道楽修行に出る若旦那を演じ、今役は一変。開幕前の取材では「トップになってから、わりとハートフルな作品が多かった中で、今回一本物の大作に臨める。プレッシャーもありますが、絶対にいい作品にしたいという思いでいっぱいです」と言い、初日に備えてきた。

文秀と義兄弟の契りを交わした極貧の少年、李春児は宦官(かんがん)となり、西太后の側近へとのぼりつめるが、その春児は人気スター朝美絢が好演。文秀の同志、順桂役は和希そらが固め、文秀が仕える光緒帝は縣千が演じた。

落日の清朝を舞台にした人間ドラマ。今作が退団公演となるトップ娘役朝月希和は、文秀を慕う春児の妹役。彩風も「ただの恋仲ではない」難しい関係性だといい、「この先2人で生きていくんだ…って、そんな終わり方が、朝月のサヨナラ公演と重なるのでは」などとも話していた。

最後のコンビ作であっても、未来を思わせるような幕引き。彩風は「ちょっと運命的なんじゃないか」とも感じ、日々の舞台を重ねていく覚悟だ。

前日9月30日には通し舞台稽古を終えると「ここまでこられたのも、皆さまのおかげです。(千秋楽まで)元気に駆け抜けてまいりたい」と宣言し、初日の幕が開いた。

宝塚大劇場は11月7日まで、東京宝塚劇場で11月26日~12月25日。