ヒューマンサスペンス舞台「凍える」(2日初日、東京・渋谷PARCO劇場ほか)の前日会見が1日、同劇場で行われ、坂本昌行(51)長野里美(61)鈴木杏(35)が出席した。演出は栗山民也氏。

04年に米ニューヨークで上演されて評判となり、トニー賞のBEST PLAYにもノミネートされた作品。幼少期に受けた虐待で患った疾患により、児童に執着して殺人を繰り返すラルフ(坂本)と、娘を殺されたナンシー(長野)、ラルフを担当する精神科医アニータ(鈴木)の姿から、心に潜む憎悪や悲しみ絶望感を描き出す3人芝居。

坂本は「見たことのない、不思議な作品です。殺人犯の心情はわからないですが、杏さんから脳について書かれた本を借り、ただの悪人ではなくトラウマを抱えた人間であることを理解できれば。栗山さんからリアルに、ドキュメンタリーに演じろと言われているので、がむしゃらに演じたい」と語った。

娘を殺された母親を演じる長野は「境遇が分かってもらいやすいし、私も娘がいるので想像の範囲でした。でも、栗山さんから声の出し方1つで伝わり方が違うことを教えられ、表現ってこういうことなんだと感じました」。精神科医役の鈴木は「学術的なセリフが多く、説得力に欠けるので、どれだけ自分に落とし込めるのか反すうしました。やればやるほど発見があり、千秋楽まで深めていきたい。友だちの精神科医にLINEではありますが、クライアントへの対峙(たいじ)の仕方なども聞きました」と話した。

作品のテーマの1つは「許し」であることから、許せないことを聞かれた坂本は「人を許せないと思うことはあまりなく、この人はこういう考え方なんだと認めるタイプです。許せないとしたら、自分の芝居ですかね」と笑いを誘った。

今作は東京公演の後、福島、兵庫、豊橋、松本、新潟、北九州、沖縄を回る。