新潟出身の演歌歌手小林幸子(68)が2日、新潟・津南町で、魚沼産コシヒカリから作った新ブランド米「越後情話」の初収穫を行った。

故郷の農業支援と過疎対策のために立ち上げた事業「幸せプロジェクト」の第1弾として、今年5月末、ハイテクの田植え機で苗を植えてから約4カ月。「待ちに待ったこの日が来ました。こんなに立派な黄金色の稲穂が育ちました。感動です」と笑顔で田んぼに立った。

新ブランド米に、96年に発売したヒット曲「越後情話」の名前を付けたのは「この曲と同じように多くの人に届けたい」との思いからだった。

この日は、プロジェクトに賛同する大相撲立浪部屋の立浪親方(54=元小結旭豊)が木竜皇(19)一翔(18)刻竜浪(27)の3力士とともに参加。部屋特製のちゃんこを大鍋で作り、地元の支援者らに振る舞った。立浪親方は「少しでも皆さんのお手伝いができればとの思いです」と話した。

小林は07年に新潟県米親善大使、11年に農林水産省から初めて公式の「お米大使」に任命されるなど、米の魅力を全国にPRする先頭に立ってきた。国民1人あたりの米の年間消費量が62年度の118・3キロをピークに年々減少し、20年度には50・8キロと半分以下となる中、危機感は一層拡大している。

「お米を食べる人も減少しているし、農業に携わる人も減っている。両親の実家も農家だけれど跡継ぎがいない。農業は(危険・きつい・汚いの)3Kなんて言われることもあるけれど、ハイテク化で女性がハイヒールを履きながらでもできるようになるかもしれない。まずは日本中に農業とお米の魅力を伝えて、ゆくゆくは世界中に発信したい。農業を活性化して、農業は楽しいんだということを広めたい」。新潟の特産である、米を通じてのさらなる“幸の広がり”を願った。

「越後情話」は2万平方メートルの田んぼから1・2トンの米を収穫する予定だ。【松本久】