宝塚歌劇の雪組「蒼穹の昴」新人公演が18日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、入団3年目の華世京(かせ・きょう)が初主演に抜てきされた。

「幕が開いて、お客さまがいらして、文秀(役柄)として気持ちが高ぶってきたら、すごく集中して、お芝居ができました」

開演前は緊張していたと言うが、下級生とは思えない堂々とした立ち姿。安定感のある歌声で、初センターを務め終えた。

舞台と客席をつなぐ銀橋でも熱唱し、主演だけが浴びるスポットライトも経験した。華世は「一言で言うと、まぶしかったです」。本公演主演の雪組トップ彩風咲奈を思い「普段、彩風さんは、あんな(光の強さ)に責任を感じてらっしゃるんだなと思いました」と話し、初々しさものぞかせた。

作品は、清朝末期の紫禁城を舞台にした浅田次郎氏のベストセラー小説を初めて舞台化で、梁家屯の地主の次男・梁文秀にふんし、改革への思いを募らせていく俊英の設定だ。本役のトップ彩風からは「大丈夫だよ。初めてなんだから、思いきってやればいい」と言って、背中をたたかれたそうで「それで落ち着きました」と感謝した。

華世は20年3月、106期生の首席で入団。雪組に配属され、舞台映えする立ち姿、ルックス、下級生とは思えない色気もあわさって、ファンに注目され、21年の阪急阪神グループ初詣ポスターにも選ばれた。

コロナ禍で新人公演はじめ、大劇場公演にも影響が出る中でも頭角を現し、前作「夢介千両みやげ」の新人公演では、本公演では2番手スター朝美絢が演じている大役を射止めていた。

相手役は、新人公演2回目ヒロインの音彩唯(ねいろ・ゆい)。主演の華世より1年先輩の105期生は「前回は(初ヒロインで)元気と勢いだけでいけましたが、今回はより深く、作り込んで-と思って稽古を重ねました」。

本公演は、トップ娘役朝月希和の退団公演でもあり、朝月に「間違えたらどうしよう」と相談したと吐露。すると、朝月から「今日、私が演じるものが、今日の玲玲(役名)だから」と励まされたと明かした。

東京宝塚劇場での新人公演は12月8日。