新海誠監督(49)の最新アニメ映画「すずめの戸締まり」(11月11日公開)完成報告会見が25日、都内で行われた。同監督は「もしかしたら日本で一番、面白い映画かも知れない…すずめが」と自信をのぞかせた。

「すずめの戸締まり」は、原菜乃華(19)が演じる九州の静かな町で暮らす17歳の岩戸鈴芽が、SixTONES松村北斗(27)演じる“災い”をもたらす扉を閉めることを使命とする「閉じ師」宗像草太と出会い、日本各地の廃虚を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく、すずめの解放と成長を描いた現代の冒険物語。会見前日の24日に初号試写が都内で開催されるなど、製作を終えて間もない新海監督は「つい最近まで作っていて。つながった感じで連続感があって、気を失った隙に時間がたった。5000人の観客に見ていただけたら、終わったのかなと」と会見に臨んだ率直な印象を語った。

新海監督は、11年に発生した東日本大震災で、感じ、考えさせられ、高校生男女の入れ替わりを描いた16年「君の名は。」を製作した。同作では、直接的に震災を描いてはいないが、「すずめの戸締まり」では、3・11を明確に描き込んだ。質疑応答で、今回、踏み込んで震災を描いた理由を聞かれると「今、描かなければ遅くなる。娘は10年生まれ…発生当時は、まだ1歳…話しても、震災の記憶はない」と語った。その上で「僕の作品の、観客の多くは10代…共通体験の震災はなくても、今だったら共有できる…という焦りのような気持ちで、今だと」と語った。

その上で「ずっと映画を作ってきて、イメージがあったのは僕自身、東京にいて被災していませんが、桜が咲いたのを見て、驚いた。こんな時にも、桜は美しく咲く…こんなに美しいんだと衝撃を受けた」と続けた。「すずめの戸締まり」はコロナ禍直前の20年1月に企画を立て、製作を進めてきたが「コロナ禍の桜にも、同じものを感じた。青山霊園あたりで満開に咲いているのを見て、我々に自然は無関心…冷徹だけど、美しい。僕の仕事である、エンタメとして形に出来ないか…今なら出来るというかたちにしたのが、すずめ」と説明した。

そして、震災をきっかけにした自然の恐怖、そして美しさへの思いが製作の根底にあったとしても「笑ってもらえる映画にしたかった」とも語った。