9人組ガールズグループNiziUが13日、東京ドームで、初のドーム公演の2日目公演を開催した。デビュー後約1年11カ月でドームにたどり着き、これまでの記録(日向坂46=3年)を抜き、日本国内女性アーティスト史上最速の記録を打ち立てた。来月にも京セラドーム大阪で2公演を行い、先月完走したアリーナツアーと合計すると約33万人以上を動員予定だ。

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WithU(ファンの通称)の青いライトが作る“海”に向け、船長MAKO(21)が率いるピンク色の“NiziU号”が出港した。初の単独ツアーの際も「Short Trip」歌唱時に船で登場。同ツアーのラストは、船に乗りステージを去った。そしてその後も航海を続け、ついにドームに到着した。

20年12月2日、コロナ禍でデビューした。なかなかファンと会えない日々が続き、苦しい時期も過ごした。デビューから712日-。目の前にはどんな時でも離れずにいてくれた約5万人のファンがいる。「自分のペースで1歩ずつでいい」。そんな思いが込められたデビュー曲「Step and a step」にバラードアレンジを加え、オープニングを飾った。

約5万人のファンを前に、MIIHI(18)は「私たち『これは現実なのか?』って夢みたいです。みんなこれ夢じゃないよね?」と、信じられない様子。RIMA(18)は「ほっぺをつねったら痛い!っていうことは現実だ!」とおどけてみせた。MAYUKAは「本日19歳になりました!」と、冒頭のMCから誕生日を自分でアピールし、拍手を浴びた。

デビュー以降、多くの新記録を樹立してきた。今回のドーム公演では、日本国内女性アーティスト史上最速の記録を打ち立てた。RIKU(20)は「アーティストの方が絶対に夢を見るこの東京ドームに私たちが立って、夢がかなっちゃっているのが本当に不思議で、めっちゃ幸せだなって改めて思います。東京ドームに立つってみんなで決めた目標を、9人で達成できて本当にうれしいです」と喜びをかみしめた。

日本と韓国、何度も往復し準備を重ねてきた。MAYA(20)は「会えない時もいつも同じBlue Moonの下にいます。韓国にいようが、海外にいようが、東京にいようが、みなさんの心の側に本当にいるので、それだけは忘れないでください」と言葉に力を込めた。NINA(17)は「私たちは毎日会えなくて、毎日愛を伝えることができないので、今日この舞台で少しでも愛と感謝の思いが伝わって、それをぜひ持って帰ってくれたら本当にうれしいです」と話し、パフォーマンスで思いを表現してみせた。

ライブは約3時間半で、「Take a picture」「Make you happy」などの代表曲を始め、12月14日にリリースする新曲「Blue Moon」も初披露した。AYAKA(19)は「Blue-」について「今年初めて単独ツアーを経験して、私たちが話していたコメントとかから歌詞が作られました。皆さんと私たち、大切な人を思う気持ちをテーマに作られた曲です」と紹介。サビ歌唱時には背後のスクリーンに満月が現れ、9人の美声が響くウインターバラードに、会場が酔いしれた。

先が見えないコロナ禍。何度も苦しい経験をしたが、それでも一歩ずつ自分のペースで歩んできた。リーダーのMAKO(21)は「誰もが想像もしなかった東京ドームでの公演をすることができて、みなさんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。『不可能を可能にする』という言葉が本当にピッタリだなって思って、これからも不可能を可能にするという言葉を信じて頑張りたいと思います」。

日本国内では、歓声が許された状況でのライブを経験していない。「私の新たな夢ができたんですけど…。みなさんのマスクを取った本当の表情が見たいなって思いました。声援がOKになったら、今叫べない分、その時に発散して叫んでください。私たちはこのイヤモニを取って聞きますから」。リーダーは夢の舞台に立ちながら、すでに次の新たな夢を見つけていた。

ドームという夢がかなったことで、満足しているメンバーは1人もいないだろう。RIO(20)は「夢だったことが現実になって、本当に感謝しています。ですが、ドームが私たちの終わりというかすべてじゃないので、もっともっとメンバーと一緒に上を目指して、もっともっとステージに立って、たくさんの人に感謝の気持ちを全部、全員に伝えたいです」。

決してドームが終点ではない。NiziU号はもっともっと仲間を増やし、世界に向け、航海を続けていく。【佐藤勝亮】