元雅夢の歌手三浦和人(64)が4日、都内で、音楽評論家富澤一誠氏(71)のイベント「富澤一誠のミュージック・ゼミナール」にゲスト出演した。

富沢氏がレコード演奏とゲストの歌唱で音楽を紹介するイベントで、この日は昨年12月に亡くなった作家で作詞作曲家の新井満さんを特集。三浦が新井さんのカバー曲「ラストワルツ-最期に贈る言葉-」を今年11月にリリースしたことから、同曲などを歌唱した。

富澤氏と新井さんとの交流は長い。18年に、作家五木寛之氏が作詞した新井さんのアルバム収録曲「きのう きょう あす」のカバー発売を、新井さんから依頼されたという。オーディションをしたものの、お眼鏡にかなう歌手は見つからず、富澤氏は三浦に打診したという。

シンガー・ソングライターとして三浦は「自分の歌を歌いたいからやっている。人の歌をやるなら辞めてやる」と思っていたという。だが、ジョイントコンサートなどで人の楽曲も歌うようになり、還暦を迎えたこともあり、考え方も柔軟になってきたという。「楽しいことを楽しんでやろうと思うようになり、いい歌を、人前で歌うのもいいと思うようになりました。自分の歌は手前みそになるのでいい歌とはいえないが、人の楽曲だといい歌だといえますから」。19年に「きのう きょう あす」をリリースした。

新井さんは昨年12月に死去。「ラストワルツ」は新井さんが妻の紀子さんとの出会いを歌った遺言のようなラブソングで、「自分が死んだらこの曲をかけてほしい」と紀子さんに託していたという。

紀子さんは関係者に寒中見舞いとともに「ラストワルツ」のCDを送ったという。富澤氏は「きのう きょう あす」がコロナ禍の中、プロモーションも満足にできなかったこともあり、「新井さんからの天の声だと思った」と「ラストワルツ」のカバー発売を決めたという。

「きのう きょう あす」の際は、数日間熟考した三浦も今回は即答。デモテープを聴いた紀子さんも「ぜひお願いします」と答えたという。

富澤氏は「新井さんから預かった大切な歌です。いい歌なので、手を替え品を替え、売れるまでやります」。三浦も「いろいろなツールがあふれている現代ですが、大切なものは大切だと伝えたい。心に染みる言葉を伝えたい」と話した。