男性向け成人雑誌の編集部の舞台裏を描き、話題の映画「グッドバイ、バッドマガジンズ」（横山翔一監督、20日公開）特別先行上映イベントが9日、東京・テアトル新宿で行われた。

「グッドバイ、バッドマガジンズ」は、2018年（平30）9月から順次、全国のコンビニで発売が停止となっていった、成人男性向け雑誌の編集部が舞台。電子出版の台頭による出版不況、コンビニからの成人誌撤退、追い打ちをかけるように起きた新型コロナウイルス感染拡大など、激動の時代を生きた彼らにスポットを当てた業界内幕エンターテインメント。22年10月に同劇場で1週間限定で行われた上映は会社員、社会人の心に刺さったとの声が多く連日、満席と大好評だったため、20日からの全国順次公開が決定した話題作。

新人編集者・森詩織を演じた女優の杏花（23）は、全国拡大上映の決定に「本当にビックリしました。1週間限定で見ていただいた方が、感想を書いていただいて、面白いと言ってくださる方が、たくさんいて、うれしい思いでいっぱい。全国で拡大上映…楽しみ」と喜んだ。

先輩編集者の向井英を演じたヤマダユウスケ（35）は「去年、見て欲しいという気持ちで、いっぱいで（新宿の）ゴールデン街で見てね、と宣伝していた」と1週間の限定上映当時を振り返った。全国拡大上映が決まり「監督と『これ…宇宙規模だよね、ここからどうしよう？』と話していた。結局、お客さまが仲のいい人を連れて来ていただけるのが大事だと思う。皆さん、大好きです。今年も長い付き合いで行きましょう」と客席に呼びかけた。

元セクシー女優の経験もある女性ライターのハル先生を演じた、セクシー女優の架乃ゆら（24）も「全国に広がって欲しい。私のこと、私の職業のこと、知っていただけたらうれしい」と期待した。その上で「ハル先生が詩織と『おっぱい2つだよ』『キ●●マ2つ』とか、話しているセリフは下ネタなんだけど、お互いの仕事の話を、仕事観でぶつかっている。なので、下ネタ話してます…みたいにしなかった。仕事への、リスペクトの度合いが好きだった」と胸を張った。

物語には、映像製作会社で働いていた横山翔一監督と、成人男性向け雑誌の編集部に所属していた、宮嶋信光プロデューサーの実話も織り込まれた。横山監督は「去年、1週間限定上映…ここで終わる予定だった。夢がまだ続いているなと…とてもうれしい。公開のこと、全然、考えていなくて出発した。すごくありがたいところにいられている」と喜んだ。その上で「宮嶋さんの、成人雑誌の業界の話を聞いて面白かった。僕もピンク映画を撮っていて、エロの現場を書きたかった」と作品の経緯を語った。

劇中には、アダルトビデオからの映像を付録のDVDに落とし込んだ際、モザイク処理をし損なったと読者から指摘され、雑誌の回収を余儀なくされた営業担当者から、編集部員と部長がしかられる場面が出てくるが、そこは宮嶋プロデューサーの実話だ。同プロデューサーは「私がエロ本の出版社で働いていた。モザイクを漏らしたのは本当の話。この場を借りて申し訳ありませんでした」とスクリーンを背に壇上から“公開謝罪”した。