英国のヘンリー王子(38)が、10日に発売された回顧録「スペア」の中で宮殿のレイアウトなど機密情報を明かしたことでロイヤルファミリーの安全を危うくしていると非難されている。

英王室で警備トップを務めたダイ・デイヴィス氏は、著書の中でバルモラル城にあるエリザベス女王の寝室の場所やカミラ王妃の高価なワインコレクションのある部屋などを明かした王子に対し、「愚か者」だと英テレグラフ紙で非難した。

王子は、父チャールズ国王とカミラ王妃の邸宅「クラレンスハウス」の入り口から国王のプライベートなリビングルームまでの正確なルートや階段の数を明かしている他、グロスターシャー州にあるハイグローブ・ハウスにある絵画でいっぱいの倉庫を見つけるヒントや外国政府や要人から贈られたギフトの収納場所なども記している。また、自身の身の安全を守るために電子トラッカーとパニック警報を常に携帯していたことなども明かしている。

50年以上に渡って警察と王室の警備に携わってきたデイヴィス氏は、「これらの暴露は私に大きな懸念を与え、ヘンリー王子の現在の警護チームにとっても大きな懸念となる可能性が高い」と述べている。1982年にバッキンガム宮殿をよじ登って侵入した男がエリザベス女王の寝室に忍び込む事件なども起きており、「王宮に侵入を試みようとする人は歴史的に常に存在している。メンタルヘルスの問題を抱えた個人であろうと、テロリストであろうと、この情報は非常に役立つ可能性がある」と話し、王室の私邸の詳細情報を明かさないという暗黙のルールを破った王子を批判した。

王子は、軍隊時代に赴任先のアフガニスタンで敵の戦闘員25人を殺害したと述べたことで、軍事関係者らから「家族も自身の身も危険にさらした」と安全の懸念も指摘されている。「チェスの駒」と表現した王子に対し、アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンの幹部から「あなたが殺したのはチェスの駒ではなく、人間。戦争犯罪を行った」と批判も受けている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)