葛飾北斎と娘のお栄の親子関係を軸に周囲の人間模様を描く、舞台「画狂人北斎-2023-」の公開ゲネプロと会見が1日、東京・曳舟文化センターで行われた。

北斎ゆかりの地である墨田区の同センターで2日からプレビュー公演が始まり、北海道から鹿児島までを回り、東京・紀伊国屋ホールでの東京凱旋(がいせん)公演まで、全国13カ所で25公演を行う。

会見には葛飾北斎を演じる西岡徳馬(76)お栄役の雛形あきこ(44)演出の宮本亞門氏(65)が出席した。

今作は、北斎親子を取り巻く高井鴻山、柳亭種彦との人間模様を描いた物語。狂人であり、北斎の生きざまに振り回された人たちのを通し、どこかうらやましくもある北斎の生きざまから、現代人に、人生とは何なのか、人間とは何なのかを問いかける。

西岡は「私の55年の演劇人生の集大成をお見せしようと思います。今日も朝から、北斎ゆかりの牛島神社にお参りしてきました。舞台にも出てくる神社の雰囲気を感じながら演じていきたい」。雛形も「西岡さんはじめみなさんや亞門さんのすごいエネルギーが、見てくださる方に伝わるんじゃないかなって思っています。舞台が日々、進化していることも実感しているので、たくさんの方に見ていただきたい」と話した。

宮本氏によると、西岡が雛形の起用を熱望したという。西岡は「10代のころから素晴らしい女優さんになると思っていました」と言えば、宮本氏も「そうなんです。大竹しのぶさんに近いすごさがあります」と絶賛した。

北斎を演じることに西岡は「北斎さんは死ぬまで、まだ足りねえ、まだ足りねえって言い続けた方。自分が90歳、100歳になって、百何十歳になったら、やっと生きて動き出すような絵が描けるかな、というような生き方をした人です。俳優としても刺激は受けます。私も、周囲からもう頂点でしょ、もう引退でしょみたいなことを言われますが、まだ先かなって。倒れるまで演じていたいですね」と語った。