歌手前川清(74)が7日、東京・中野サンプラザで55周年記念コンサート「ありのままに」を行った。

コーラスグループ、内山田洋とクールファイブのバンドボーイとなり、69年にボーカルとして「長崎は今日も雨だった」でデビュー。クールファイブ時代と合わせて、NHK紅白歌合戦には29回も出場している。

コンサートは2部構成。クールファイブ時代のヒット曲から、「ひまわり」やさだまさしが作った新曲「昭和から」まで、アンコールを含めて全18曲を披露。長男の歌手紘毅(37)と次女の歌手侑那(31)も駆けつけ、満員となる2000人のファンが堪能した。

コンサートにはクールファイブのメンバーも駆けつけた。中でも小林正樹(80)はつえを付きながらステージに立った。

公演後に取材に応じた前川は「久しぶりにメンバーと会いました。年を取りましたが、一生懸命にデビュー当時の感じでハモってくれて、感激しました。コーラスもガサガサで、私の声もガサガサになって。でも、ありのままに、ということなので。こういう雰囲気で皆さまには失礼だったんですけども、なんかちょっと温かい、私たちが感激する身内みたいな、身内のショーになってしまいました」と語った。

前川はステージでは小林をいじり、アドリブで名曲「アンチェインド・メロディ」を歌わせた。声はかすれ、高音はでないが、観客からは大きな拍手が沸き、前川も感動したのか、涙を流した。

前川をクールファイブに誘ったのが小林だった。「3、4日前には、具合が悪くて、歩けないので、ステージに来られないかもという話でした。公演が終わって、小林さんの肩をたたいたら、もう体がガリガリで。でも、なんとも言えないあの味のある声は、奥さんを亡くしたとか、いろんなことがあったんだなと思い、ジーンとしてしまいました」。

55周年の思い出を聞かれると「欽ちゃんや、長さんのドリフとか、いろいろな出会いがありました。それと、藤圭子さんかな。1年で別れましたけど、いま、こう笑って話すことができますし、あと、内山田洋さんが、55周年に出られないことが残念ですね」。

今年は55周年の記念コンサートを各地で行う予定。次の周年は60年になるが、前川は「次に向けてはもうないです。もう今日がすべて。次ってのはね、よく考えたら小林さんだって本当わかりません。でも、小林さんがステージで『60周年を頑張る』って言ってくれたので。60周年をやれた時には、もう点滴でのベッドショーですね。もうみんな録音して」と笑わせた。