宮沢氷魚(28)が11日、東京・テアトル新宿で行われた主演映画「エゴイスト」(松永大司監督)公開記念舞台あいさつに出席した。公開初日の前日10日に鑑賞できなかった代わりに、各劇場の座席の販売状況をインターネット上でチェックしていた中、同劇場の午後の回で鑑賞したことを報告した、主演の鈴木亮平(39)のツイートを発見し「誘って!」と思ったと語り、観客を笑わせた。

「エゴイスト」は、20年に亡くなった高山真さんの自伝的小説の映画化作品。宮沢は、鈴木亮平(39)が演じたファッション誌の編集者・斉藤浩輔と愛し合う、パーソナルトレーナー中村龍太を演じた。「1年半ほど前に、この映画を撮影した時、僕達は全てを注ぎ込んで、良い作品を作ろうという熱い思いで挑んでいました」と撮影を振り返った。

一方で「どの映画もそうなんですけど、撮った後、公開されるまでは、たくさんの不安があって、僕達がやったことが正解かどうか、作品が皆さんに届くかどうか、たくさんの不安があって…時には押しつぶされそうな瞬間もありました」と吐露した。この日、公開記念舞台あいさつの舞台に立てたことで「公開を記念できていることが、とても幸せでいっぱいです」と喜びをかみしめた。。

封切られた前日10日は、東京をはじめとした関東圏は雪だった。宮沢はスケジュールの都合で、宮沢が演じた龍太の母妙子を演じた阿川佐和子(69)は原稿の締め切りを抱えており、映画館に足を運べなかった。一方、鈴木は午後、松永監督は夕方、鈴木が演じた浩輔の友人を演じたドリアン・ロロブリジーダ(38)は最終の上映回で、それぞれテアトル新宿で映画を見ていた。

宮沢は、鈴木が「この劇場で、あそこで見ましたね」と左後方の座席を指さすのを、うらやましそうに見詰めた。さらに、鈴木が「2個くらい、横の方が携帯電話のバイブが、うるさくて。いつもは『アァッ』と思うんですけど、昨日は、大変な用事があって来てくださった。ありがとうございます、と」などと語ると、思わず笑った。

映画館に見に行けなかった代わりに、宮沢はインターネット上で、各劇場の券売状況をサーチしていたという。「僕は残念ながら昨日、見に行けなかったんですけど、ずっとSNSをはじめ、各映画館にどれくらい入ってくれているかチェックして。満席の映画館が幾つかあったりとか、前列の1席しか空いていないとか…雪の中で。今日も明日も、かなり入っています」と胸を張った。これには、鈴木も「偉い! 宣伝担当の人みたい。心強い」と絶賛した。

宮沢は「普段、エゴサはしない。自分の名前で検索することはしない」と、今回のサーチが異例のことだと語った。あくまでも「エゴイスト」という作品としてサーチした結果、鑑賞後にチケットの半券などの画像を投稿した、鈴木のツイートを発見し「あぁ亮平さん、誘って! と思った…どっちにしろ、行けなかったんですけど」と語り、客席を笑わせた。

宮沢は「感慨深いし、僕達が思いを込めて作った作品が、たくさんの方に届いていると実感でき、充実した時間を過ごしています」と笑みを浮かべた。そして「10、20、30年ごと、この作品は生き続けて、より多くの人のところに届く作品だと信じています。生まれて、走りだしたばかりの、この作品が、より多くの人のところに届くことを願っています」と客席に呼びかけた。

◆「エゴイスト」 14歳で母を失い、田舎町でありのままの自分を隠して鬱屈(うっくつ)とした思春期を過ごした浩輔(鈴木)。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、自由な日々を送っている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母を支えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太(宮沢)。引かれ合った2人は、時に龍太の母も交えながら満ち足りた時間を重ねていく。亡き母への想いを抱えた浩輔にとって、母に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし2人でドライブに出かける約束をしていたある日、何故か龍太は姿を現さなかった。