松竹新喜劇の劇団代表を勇退する渋谷天外(68)、藤山扇治郎(36)らが1日、大阪市内で「松竹新喜劇 五月新緑公演」(5月13~25日、大阪松竹座)の制作発表に出席した。

同公演を機に藤山ら若手俳優5人を軸とする新体制で上演する。勇退発表後、初の公の場となった天外は「来年には70歳になる。やっぱり若い人には引っ張っていってもらわなアカン。これからは彼らのケツを引っぱたく役をやりたい」と語った。天外は役者、作者の両面で劇団を支えていく。会見場の登場したときには涙ぐんでいたようにも見えたが「ウルっていたのは花粉症やと思います」と笑顔でかわした。

1948年、大阪・道頓堀で誕生して劇団創立75周年を迎える松竹新喜劇。藤山寛美さんが亡くなった後の91年から代表を務めてきた天外は「これまでの松竹新喜劇の殻を破ってほしい。僕ができなかったことをやってほしい」とエールを送った。

天外からバトンを受けるのは扇治郎、渋谷天笑(39)、曽我廼家一蝶(41)、曽我廼家いろは(31)、曽我廼家桃太郎(37)ら劇団創立以来のゆかり深い名跡を受け継いだ5人。扇治郎は「前向きに考え、新しく変化していければいいなと思います」と意気込んだ。

「五月新緑公演」は、没後40年となる天外の父、2代目渋谷天外が舘直志のペンネームで書いた「花ざくろ」と時代劇「三味線に惚れたはなし」の2本立て。