元参院議長で宝塚歌劇出身の女優だった扇千景(おおぎ・ちかげ、本名林寛子=はやし・ひろこ)さんが9日、食道胃接合部がんのため都内の病院で亡くなった。長男の歌舞伎俳優中村鴈治郎(64)、次男の歌舞伎俳優中村扇雀(62)が松竹を通じてコメントを発表した。

 

中村鴈治郎のコメント全文

 

母らしく、最期まで気丈な姿でした。

かつては女優もしておりましたが議員生活が長かったので、息子ながら、母親というよりも議員としての顔を強く感じていました。

また、議員を引退してからは父の面倒をずっと見ており、父にかかりっきりでしたが、父が亡くなってからのこの2年以上は母ひとりでしたので、一緒に食事をするなど同じ時間を過ごすことも増えてきました。そんな折に、母親だと改めて実感したものです。

最期は私たちの母として、苦しまず、穏やかに旅立っていきました。

今頃は大好きな父のもとにいて、きっと喜んでいると思います。

皆さまには、生前賜りましたご厚情に深く御礼申し上げると共に、どうぞ私どもにも変わらぬご指導、ご鞭撻をいただけますようお願い申し上げます。

 

中村鴈治郎

 

 

中村扇雀のコメント全文

 

この度、母が89歳で身罷りました。入院して一ヶ月ほどでしたのでスッと安らかに永眠いたしました。

悔いのない人生であったと思います。銀行員の娘として生を受け宝塚の生徒として舞台を踏み、映画で父と知り合い兄と私を産み女優から参議院議員に転身し参議院議長まで務め上げ、歌舞伎俳優である父の231年振りに復活した坂田藤十郎襲名を支え内容の濃い人生だったと思います。

私は母に似ていると言われることが多く血液型も同じで性格も似ていたと思います。親子として共に過ごす時間は少なかったのですが多くのことを教えられました。

今は母の子であったことをただただ感謝しています。

改めて生前賜りましたご厚情に対し、厚くお礼申し上げますと共に今後私ども遺族に、変わりなきご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

中村扇雀

 

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