盗聴などの違法行為とプライバシー侵害で英タブロイド紙デイリー・メールの発行元を訴えている裁判の予備審問に出廷するため緊急帰国した英国のヘンリー王子(38)が、前日に続いて審理2日目となった28日もロンドンの王立裁判所に姿を見せた。英歌手エルトン・ジョンや女優エリザベス・ハーレーら複数の著名人と共に原告に名を連ねている王子は、27日に突然裁判所の前にタクシーで現れて集まっていた報道陣を驚かせていた。

エリザベス女王が昨年9月に死去して以降初めての帰国となった王子は、27日にサプライズで裁判所前に姿を見せると、時折笑顔を見せる余裕も見せていたが、現場ではパパラッチとぶつかるなど混乱があったことが伝えられている。2日目もスーツにネクタイ姿で現れた王子は、裁判所内に入る際には集まった人々に手を振る姿が見られたと米ピープル誌は伝えている。

裁判を行うかどうか判断する予備審理は30日まで4日間開かれることになっているが、王子がいつまで英国に滞在するのかは分かっていない。また今回の帰国について、サプライズを演出するため事前にチャールズ国王に相談していた可能性は低いと英エクスプレス紙が報じている。「王子夫妻の行動は常に予測不可能で、誰も出廷を予期していなかった」と王室専門家のリチャード・フィッツウィリアムズ氏の話しを伝えている。

法廷では弁護士が、同社の違法行為について母のダイアナ元妃が事故死した後にメディアが過熱報道を改めるとした約束したことに反する裏切りだと王子が主張していると述べていたという。一方で発行元であるアソシエイテッド・ニュースペーパーズは、原告側の主張を全面否定しており、裁判が行われないことを求めている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)