長渕剛(66)と志穂美悦子さん(67)夫妻の長女で、女優の文音(35)がApple TV+の新作映画「テトリス」(ジョン・S・ベアード監督)で海外作品に初出演している。31日の配信開始を前に、インタビューに応じた。

同映画は、旧ソ連で生まれたブロックが落下するゲーム「テトリス」を世界に大流行させた実話を基にしている。主演はタロン・エガートン(33)で、米のゲームセールスマンを演じる。テトリスの権利を得るために、冷戦時代の1988年にソ連に乗り込む。KGB(ソ連国家保安委員会)にマークされるなどサスペンスタッチで物語は展開する。文音はエガートンを見守る妻役を演じた。

文音は日本で映画やテレビドラマに主演しているが、海外映画への出演はこれが初めて。「どうせ(女優を)やるなら、エンターテインメント産業の中心で、トップを目指したかった。海外作品に出るのが夢だった」と、22歳のころからオーディションを受け続けた。「何百本受けて落ち続けて、(受かった年が)10年目の冬でした。信じられなかった。理由は私がきっとフィットした、としか言えないです」。

撮影はスコットランドに旧ソ連の街並みを作るなど、大規模に行われた。コロナ禍で渡航した際、隔離も経験もしたが、日本とは違う撮影現場は勉強になったという。

「監督と出演者が、例えばどう動くかなど言い合って、全員でクリエート(作り出すの意味)している。新鮮でした」。

中高、大学と英語コースで学ぶなど語学は堪能だったが、「スコットランドではアクセントに悩まされました」。もちろんスタッフに積極的に質問してクリアした。

オーディションに合格した際、長渕はとても喜んでくれた。「(撮影のため)出国する際は、万歳三唱をしてくれました(笑い)」。母は日本を代表するアクション女優だった。「母は結婚して家庭に入りましたが、夢は(外国の映画祭や上映会で敷かれる)レッドカーペットを歩くことだった。私は(アメリカのプレミア上映会で)経験できました。母の夢をかなえられてうれしい」と喜んだ。

世界への第1歩を踏み出した。「これが始まりなので、どう次につなげていくか。これで終わらせない。引き続き夢を追い求めて行きたい。もちろん日本のお仕事もやらせていただきたいです!」。

映画の挿入歌として、弟のシンガー・ソングライターReN(本名長渕蓮、29)の「ホールディング・アウト・フォー・ア・ヒーロー」という楽曲が使用されている。関係者によると「文音の弟の作品と分かったのは、挿入歌に決まった後で、サウンドスタッフが純粋に選んだそうです」。同映画で“姉弟共演”が実現した形だ。

文音のもう1つの夢は、自分の主演映画の主題歌を長渕剛に歌ってもらうことと語っている。こちらも秒読みかもしれない。【笹森文彦】

◆文音(あやね) 本名・長渕文音。1988年(昭63)3月17日、東京生まれ。明治学院大国際学部国際学科卒。08年に映画「三本木農業高校、馬術部」(佐々部清監督)の主演で女優デビューし、第32回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。12年から米ニューヨークに演劇留学。主演映画は「ばぁちゃんロード」(18年)など。ドラマ、舞台でも活躍。ラッパーのWATARU(本名長渕航、34)とReNの2人の弟がいる。身長163センチ。血液型A。