動物と肌で触れ合い、ムツゴロウの愛称で親しまれた作家の畑正憲(はた・まさのり)さんが5日午後5時53分に心筋梗塞のため亡くなった。北海道中標津町の病院で息を引き取った。87歳だった。

80年からスタートしたフジテレビ系動物バラエティー番組「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」は高視聴率番組として2001年まで21年にわたり続いた。同番組では00年にロケ中に、右手中指の第1関節から上をライオンに食いちぎられるアクシデントもあった。

畑さんがライオンに右手中指を食いちぎられたのは、同番組で南米ロケ中、動物保護施設を訪問した時だった。サーカスで虐待を受けていたライオン(オス、4歳)とコミュニケーションをとっていた際、多くの関係者が集まり、驚いたライオンに右手の中指を食いちぎられてしまった。畑さんは「ライオンにしてみれば、せっかく遊んでもらっていたのに、僕まで去って行ってしまうと思い、引き留めようとしたんでしょう。犬でもよくあること」と状況を説明した。

アクシデントが起きた後も畑さんが笑っていたため、カメラマンも指を食いちぎられたことに気づかないまま、撮影を続けていたという。その後、現地の病院に急行し縫合した。指は見当たらなかったという。

帰国後、畑さんは会見を開き「けがを恐れていたら動物と付き合う資格はない。自分の不注意などで、ライオンに処置をしないようお願いした。動物の専門家として、この程度のことで大きく報道されてしまって、非常に恥ずかしいですよ」と苦笑いしながら語った。