歌舞伎俳優市川左團次(いちかわ・さだんじ)さん(本名荒川欣也=あらかわ・きんや)が15日午前3時48分、右下葉肺がんのため亡くなった。82歳。葬儀は20日に家族葬で営まれる。喪主は妻荒川千絵(あらかわ・ちえ)さん。

左團次さんは今月の「鳳凰祭四月大歌舞伎」に出演予定だったが、体調不良のため休演。最後の舞台は今年1月、国立劇場初春歌舞伎「遠山桜天保日記」となった。昨年11、12月に行われた13代目市川團十郎白猿の披露興行では、口上を述べている。

敵役から老け役、ユーモラスな役柄まで幅広く演じ、尾上菊五郎劇団としての世話物にとどまらず、時代物、新歌舞伎における重厚な演技に芝居の厚みを加える、歌舞伎界における貴重な俳優だった。

3代目左團次の長男で、1947年(昭22)、市川男寅を名乗り初舞台。62年に5代目市川男女蔵を襲名。79年、「京人形」「毛抜」の粂寺弾正で4代目市川左團次を襲名。

旭日双光章、日本芸術院賞、松尾芸能賞優秀賞、眞山青果賞特別賞など。