歌舞伎俳優尾上松也(38)が5日、都内で、新作歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐(とうけんらんぶ つきのつるぎえにしのきりのは)」(7月2~27日、新橋演舞場)制作発表会見に出席した。

刀剣に宿った神が戦士の姿になった“刀剣男士”を率いて戦う人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」を、初めて歌舞伎として上演する。

松也は主人公三日月宗近を演じ、演出に初挑戦する。21年に自主公演「挑む」で上演した「赤胴鈴之助」で企画に携わり、「演者として立たせてもうのとは違う達成感があった」と振り返る。以来演出への思いを強くし、本作の企画立案と同時に演出にも名乗りを上げ「今回『刀剣乱舞』で演出をさせていただけるのは念願で、思いがかなった」と喜んだ。

コンセプトは「ありそうで見たことがなかった古典歌舞伎」。立ち回り時に木を打って音を出す「ツケ」など「皆さんが想像する王道の歌舞伎テイストはふんだんに盛り込みたい。最新技術を否定するわけじゃないけど、できるだけ使わず、生の舞台の良さを伝えられたら」と意気込んだ。

“歌舞伎版刀剣男士”のビジュアルも見どころで、その姿が公開されるとSNS上で話題に。松也は本作に登場する6振りの刀剣男士全ての撮影に立ち会ったという。自身が演じる三日月宗近は、ゲームでは前髪を下ろしたキャラクターだが「前髪を下ろしてしっくりこず、直前で大変更した。僕のビジュアルがしっくりくるに至らず、全体の情報解禁が遅れてプチ炎上しまして」と苦笑い。歌舞伎化を心配するファンの気持ちを理解しつつ「ファン心理は無視したくないと思ったので、残すところは残して、大胆にそぎ落とす。僕らも歌舞伎の良さを再認識しながらブラッシュアップして、初日を迎えられたら」と話した。

松也は「新作歌舞伎『刀剣乱舞』が何百年後かに古典歌舞伎として上演され、後輩たちにやりたいと思ってもらえる作品に」と抱負を語った。

「刀剣乱舞」は、アニメや映画、2・5次元ミュージカルなどさまざまな形で取り上げられる人気コンテンツ。歌舞伎では、室町時代を舞台に13代将軍足利義輝が討たれた元禄の変を描き、ゲームの世界観を再現する。