俳優林遣都(32)が今年10月から上演されるビートたけし(76)の青春自伝原作の音楽劇「浅草キッド」(東京・明治座ほか)で主演を務めることが6日、分かった。同作は88年と02年に2度ドラマ化されたほか、21年には劇団ひとりが監督、主演を柳楽優弥が務めて映画化もされた。今回が初の舞台化となる。

物語はたけし自らが原点と語る浅草・フランス座で下積み生活を過ごした青春時代をベースに、芸人・ビートたけしの誕生と笑いにかけた芸人たちの生きざまを描く。たけしは86年に同名楽曲も発表しており、今回は日本テレビ系ドラマ「あなたの番です」などで知られる福原充則氏脚本・演出のもと、オリジナル楽曲も加えて音楽劇へと仕立てる。

主演の北野武役を演じる林もコメントを発表。福原氏作品への出演について「数年前、ある舞台役者の先輩に『葛西臨海公園で面白いお芝居やってるよ』と誘っていただき、ついて行った先で、そのあまりの面白さに雷に打たれたような衝撃を受けたことがありました。『ニッポンの河川』というユニットで、その中心にいたのが、脚本を手がけながら照明器具や小道具のラジコンを操る福原さんでした」とエピソードを明かした。

続けて「当時、演劇に興味を持ち始めた頃の僕はそのお芝居を見て『演劇ってなんて素晴らしいんだ!』と、とてつもなく感動したことを今でも鮮明に覚えています。念願かない、ついに福原さんの舞台に出演させていただくことになったのですが、まさかの浅草キッドです。とんでもない作品への出演が決まり大きな重圧を感じますが、最大限の敬意と情熱をもって挑みたいと思います。山本耕史さんとは初めてご一緒させていただきます。心強いです。お会いするのが楽しみです」。

また、林演じる武の師匠、深見千三郎役に山本耕史(46)が決まった。2人は初共演となる。深見は青年時代にたけしの人生を決定づける人物で、同じくコメントを寄せた山本は「世界を舞台に活躍する北野武さんの浅草での修行時代。ある1人の芸人との出会いで、その後の人生が一変したという。昭和の浅草で強烈なカリスマ性を放ち、『幻の浅草芸人』ともあがめられる深見千三郎師匠。そんな深見師匠の役を、今回演じます。主演の林遣都さんや、脚本演出の福原さんとは初めてご一緒しますが、しっかりと話し合いながら、当時武さんが受けた衝撃を、師匠役に宿したいと思います。ぜひ楽しみにしていてください」とした。

舞台は10月から東京・明治座からスタートし、11月にかけて大阪・新歌舞伎座、名古屋・愛知県芸術劇場大ホールでも上演予定となっている。