14日に全国441館で公開された、宮崎駿監督(82)10年ぶりの新作長編アニメーション映画「君たちはどう生きるか」の北米での公開が決まった。スタジオジブリの英語版公式ツイッターが15日「今年後半に北米の劇場で公開予定」と発表した。

英語のタイトルは「THE BOY AND THE HERON」(少年とサギ)となった。主人公の牧眞人は東京に住んでいたが、戦争が始まって3年目に街が戦火に包まれ、母は入院していた病院が焼かれ、亡くなってしまう。4年目に東京を離れ、疎開した先で出迎えにきたナツコという女性が、父との間の子を身ごもっており、新たな母になると伝えられる。複雑な心情を抱える眞人は、新しい家に通され、自室のベッドで寝ているうちに母の夢を見て、涙する。目覚めると、家の近所を歩き回り、見つけた古い塔に入り込んでいく。そんな眞人の前に現れた、不思議なアオサギの存在を踏まえ、英題をつけたとみられる。

米国のエンターテインメント系メディア「VARIETY」電子版は「米国の配給会社Gkidsが、日本のアニメーション界の巨匠、宮崎駿の、最後の映画の北米版権利を獲得した。『少年とサギ』として公開される」と報じ、「君たちはどう生きるか」が宮崎監督最後の長編アニメーション映画になると位置付けた。

「君たちはどう生きるか」は22年12月13日、配給の東宝のラインアップ発表会見で公開決定が発表された後、情報を一切、解禁せず、宮崎監督が少年時代に感動した吉野源三郎の同名小説にインスパイアされ、題名を借りて新たに物語を生み出したこと程度しか明かされていなかった。公開後、映画のエンドロールで俳優山時聡真(18)木村拓哉(50)ら出演声優、米津玄師(32)の主題歌「地球儀」が明らかになる異例の初日となった。

「VARIETY」は「この待望の映画は、金曜早朝に『君たちはどう生きるか』と題して日本の劇場で公開された。プロデューサーのスタジオジブリによる前例のない決定により、日本での劇場公開に先立って、映画に関する画像、予告編、あらすじ、広告、その他の情報は一切公開されませんでした」とも報じた。公開まで一切の情報を開示せず、宣伝もしないという、前代未聞の状況下の中、日本国内で公開されたことを紹介した。