世界3大映画祭の1つ、第80回ベネチア映画祭(イタリア)授賞式が9日(日本時間10日)にイタリアで行われ、クラシック部門に出品された相米慎二監督(の1993年(平5)の「お引越し」4Kデジタルリマスター版が最優秀復元映画賞を受賞した。邦画の受賞は、前回の22年に鈴木清順監督の「殺しの烙印」4Kデジタル復元版が、アジア映画として初めて同賞を受賞したのに続き2年連続。折しも、この日は2001年(平13)に53歳で亡くなった相米監督の命日で、死去から22年たち、改めて世界で再評価が進んでいる。

「お引越し」は、公開された93年にベネチア映画祭と並ぶ世界3大映画祭の1つ、カンヌ国際映画祭(フランス)の「ある視点」部門に出品された。公開から30周年を迎え、35ミリオリジナルネガフィルムから4K解像度によるスキャンを行い、デジタルリマスター作業を行い、4Kデジタルリマスター版がベネチア映画祭で世界初上映された。公開から30年の時を経て、世界3大映画祭のうち2映画祭に出品され、受賞を果たす快挙となった。

「お引越し」は、相米監督の10作目となった代表作の1つで、ひこ・田中氏の同名小説の実写映画化作品で、田畑智子(42)のデビュー作となった。田畑が演じた京都の小学6年生の漆場レンコが、父ケンイチが家を出て母ナズナとの2人暮らしが始まった中、離婚目前の両親の間で成長していく姿を描いた。中井貴一(61)が主演し父のケンイチ、母ナズナを桜田淳子(65)が演じた。