俳優稲垣吾郎(49)が主演を務める11月10日公開の映画「正欲」(岸善幸監督)の予告映像&本ビジュアル解禁が19日、初解禁された。さらに主題歌はVaundyが担当することも分かった。

第34回柴田錬三郎賞を受賞した朝井リョウによる同名小説を映画化。主演稲垣のほか、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香らを出演者に迎える。

同作は家庭環境、性的指向、容姿-さまさまに異なった”選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマをあぶり出していく衝撃的なストーリーさ。現在公開中の特報映像をはじめ、SNS上では情報解禁のたびに「興味を引きつけられる作品」「小説を知った上で映画見るのは初めてだけど期待が膨らんだ」「人生の深淵(しんえん)をのぞけそう」など、期待の声が続々と上がっている。

検察官として横浜検察庁に務め、妻と息子と3人でマイホームに暮らす寺井啓喜(てらい・ひろき)役に稲垣吾郎。広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月(きりゅう・なつき)役に新垣結衣。両親の事故死をきっかけに広島に戻ってきた夏月の同級生・佐々木佳道(ささき・よしみち)には、磯村勇斗。そして佐藤寛太がダンスサークルで活動し、大学の準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也(もろはし・だいや)、東野絢香は大也と同じ大学に通う神戸八重子(かんべ・やえこ)を演じる。

ストーリーが進むにつれ、別の場所でそれぞれの人生を歩んできた彼らの関係は、少しずつ交わっていく。どうしたって降りられないこの世界で、生き延びるために大切なものを、強い衝撃や深い感動とともに提示する。

待望の30秒予告も解禁された。予告映像は映画配給会社「映画会社ビターズ・エンド」の公式YouTube内で視聴できる。映像では「自分がどういう人間か、人に説明できなくて息ができなくなったことってありますか?」と夏月が啓喜に問いかけるシーンから始まる。正義で世界を測る検事の啓喜は「社会の“バグ”は本当にいるの。悪魔みたいなやつがいるんだよ!」と語り、そのセリフとともに登場人物たちの意味深で印象的な表情が次々と映し出される。大也は「あんたが想像もできないような人間はこの世界にたくさんいるんだよ」と語る。「誰にもバレないように、無事に死ぬために生きてるって感じ」とつぶやく佳道。検事の啓喜は一体何と対峙(たいじ)していくのだろうか。

家庭環境や指向、見た目など、さまざまに異なる5人。違う場所、違う人生、違う境遇で生きていて、まったく接点がないように見える彼らの距離が少しずつ近づいていき、予想もできなかった“ある事件”をきっかけに交差する。

「生きるために必死だった道のりをありえないって簡単に片付けられたこと、ありますか?」と、問いかける夏月。そして、水浸しのベッドに横たわる夏月の画とともに映し出されるタイトル「正欲」。その言葉の意図するものとは。交差した彼らの人生はその後どこに向かうのか。

合わせて本作の本ビジュアルも解禁された。何か遠くを静かに見つめる啓喜と、無言で前後に並びバスに揺られる夏月と佳道、そして「観る前の自分には戻れない」のコピーが印象的な1枚となっている。

さらに本作の主題歌を、若者を中心に幅広い世代で絶大な人気を誇るVaundyが担当することが決定した。Vaundyが映画主題歌を手がけるのは、本作が初となる。主題歌となったのは、Vaundyの未発表楽曲である「呼吸のように」(SDR)。書きためた未発表の曲から、映画の世界観に合うものをVaundyが選び提供。まるで書き下ろしたかのように映画世界を端的に凝縮した、かけがえのない人とのつながりを歌うその楽曲は、深い余韻を本作の最後に響かせる。果たしてどんな主題歌になっているのか、今後に注目が集まる。

 

▼Vaundyコメント

「自由でいることの窮屈さや、共鳴を求めてしまう心の寂しさが描かれているこの映画ですが、必ずしも共感をしなくてもいい、できないのもいいのかもしれない、と僕は感じました。

生きるということは息を吸うということ。

少しでも長く君と同じ空気を吸っていたいのさ、というシンプルな想いをこの曲にこめています。

自分の中に溶けていくような音楽になるよう心がけたので、映画館で最後まで浸ってもらえたらうれしいです。Vaundy」

 

▼原作:「正欲」(新潮文庫刊) 原作小説は、09年「桐島、部活やめるってよ」で第22回小説すばる新人賞を受賞、2013年「何者」では直木賞を受賞した朝井リョウが、作家生活10周年で書き上げた渾身(こんしん)の一作。21年3月に発売されるやいなやその内容が波紋を呼び、第34回柴田錬三郎賞を受賞した話題作。自身が「小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品です」と語る通り、共感を呼ぶ傑作か、目を背けたくなる問題作か…「この衝撃は読んでみないとわからない」「もう読む前の自分には戻れない」と、続々と読者が増え続けている。