TBSは7日、同局系「報道特集」(土曜午後5時半)で、ジャニーズ事務所に関しての社内調査結果を報告した。

この日は「ジャニーズ事務所とテレビ局 番組制作の現場で何があったのか」と題し、約1時間にわたって特集。報道・制作・編成経験のある社員や元社員、OB合わせて80人以上を取材し、同事務所との関わりについてキャスティングなどに事実上の忖度(そんたく)があったことを認めた。

同局は(1)週刊文春のジャニー喜多川氏の「セクハラ」キャンペーン報道、ジャニー喜多川氏の事故報道の欠番、性被害について(2)ジャニーズ事務所とTBSの関わり方(3)今後の関わり、についてなどヒアリング調査を行った。

(1)については文春報道を「週刊誌ネタ、芸能ネタというレッテル」「男性の性被害の認識の低さもあり、ニュースとして取り上げる判断をしなかった」などと語った。さらに事故報道についても、当時の記者は昼ニュースとして報道する予定だったが、欠番とされ放送されなかったことに「納得できなかった」「忖度(そんたく)そのもの」と話しているという。

同局ではジャニー喜多川氏の性加害を4月22日放送の「news23」(月~金曜午後11時)で初めて取り上げた。03年と04年の裁判結果を報じなかった背景については「忖度(そんたく)があったという証言は出てこなかった」としたものの、当時の社会部デスクだった日下部正樹氏は「当時の男性の性被害の認識の低さとしているが、なぜその後も20年放置されてきたのか、伝えるべき事を伝えなかったのは一種の職務怠慢。その結果、人権被害が広がったことを忘れてはならない」と話した。

(2)については、キャスティングで圧力を感じた人もいたという。村瀬健介キャスターも「社内で見聞きした経験からジャニーズは面倒だと思っている社員が私を含めて大勢います。普段からニュースにする、しないの判断は重要性などを勘案して行っていますが、判断する要素の一つに編成部への配慮が入ることは問題」とコメントした。

(3)については、「テレビ局も含めたエンタメ業界はそういうところ。ジャニー氏のセクハラがスペシャルだったと思えなかった」といった、芸能界全体への提言もあった。さらに、ジャニーズ事務所のタレントは数字が取れるという点で、自身の評価も上がるという互いの甘えもあったと明かした。その上で、今後、タレントらはエージェント契約になる点について「俳優やタレントの権利を守るため、もっとエージェント制が広まると良い。実力主義のキャスティングが通るような関係性に変わる大きなきっかけに」と考えている社員が多いという。

膳場貴子キャスター(48)は「改めて自分たちの足元を見つめたとき、ジャニーズ事務所に許してしまっていた自分たちの責任も痛烈に感じます。力関係に基づいた性加害はジャニーズ事務所に限らず、エンタメ業界全体に横たわっている問題だと感じますので、そこまで変えていかなければこの問題から学んでいないと思う」と指摘した。

ジャニーズ事務所の社内調査結果については、日本テレビも4日に「news every.」(月~金曜午後3時50分)内で、忖度(そんたく)があったことを認めていた。