宝塚歌劇団の星組スター天飛華音(あまと・かのん)が18日、兵庫・宝塚バウホールで、バウ初主演作「My Last Joke-虚構に生きる-」の初日を迎え、米作家エドガー・アラン・ポーにふんした。

19世紀前半のアメリカが舞台。出版業界もまだ草創期の時代を描き、天飛は、文筆業だけで生計を立てようとした小説家で詩人、批評家のエドガーの運命を生きる。

天飛は16年入団の102期生。歌、ダンス、芝居と3拍子そろい、新人公演主演も3度経験。今年、新人公演学年を卒業し、8年目に入り、バウ初主演をつかんだ。

収入に恵まれず、周囲の大切な人を次々に失っていくエドガー。天飛はその苦悩、年の離れたいとこヴァージニアへの強い思いを堅実に描き出した。

今作の作・演出は竹田悠一郎氏。ヒロインのヴァージニアは105期生の詩(うた)ちづる。新人公演に加え、今春には有沙瞳と東上作でもダブルヒロインを務めるなど、豊富な経験を生かして、今回がバウ初ヒロイン。エドガーと対立する敵役の編集者は碧海さりおが巧みに表現。ストーリーテラーでもあり、エドガーの理解者となる編集者は、今年の「1789」で新人公演に初主演した5年目の稀惺(きしょう)かずとが熱演を見せた。

天飛らは前日17日には宝塚バウホールで、通し舞台稽古を行い、最終確認。稽古を終えると「明日の初日から千秋楽まで、どうぞ、よろしくお願いします」とあいさつし、幕開けに備えていた。

公演は29日まで。