14年春の選抜高校野球大会で桐生第一(群馬)が8強入りした際の主力野手・柳谷参助(26)が、TBS系日曜劇場「下剋上球児」(日曜午後9時)の12日放送(第5話)から出演する。「番組はヒューマンドラマだけど、野球シーンはウソのないガチでやっています。ぜひ俳優としての自分を見てほしい」とアピールした。

弱小高校野球部の成長を通じ、教育や地域社会、家族が抱える問題や愛を描くストーリー。柳谷は抜群の野球センスを持ち、本塁打を連発するスラッガーの中世古僚太(なかせこ・りょうた)を演じる。これまで、テレビに“ちょい役”などで出演した経験はあるが、本格的な演技は今回が初めて。連続ドラマも初出演で、日々奮闘しながら収録に励んでいる。

「台本に書いてあった役柄の当初のイメージが、監督さんらと話している中で変わっていきました。それもあって、最初は自分の中で対応できていない甘い部分があったけど、徐々につかめるようになっていきました」と確かな手応えを感じている。

俳優としての初の大舞台。そこで着実に成長を遂げている背景には、野球部顧問役の主演鈴木亮平の存在がある。ある日の収録で、何度も全速力で走るシーンがあり、足が回らなくなり転倒してしまった。「すぐに立ち上がって『すみません』って謝ったんです。そうしたら、亮平さんが飛んできてくれて『大丈夫か』って、まず体の心配をしてくれたんですね。人のことをいたわることのできる本当に優しい方です。(役柄では)顧問であり、先生であり、すごく尊敬しています」。

体を気遣ってくれるだけでなく、演技のアドバイスもしてくれる。「野球には自信があるんですけど、芝居になるとうまくいかないことが正直多い。あるシーンの撮影で、カットがかかる度に亮平さんが『こっち来い』と言ってくれて『今の良かったよ』『じゃあ、次はちょっとこうしてみようか』みたいな感じで言ってくれたんです。答えそのものを教えてくれるというよりは、演じるヒントをくれます」。感謝の言葉を何度も続けた。

俳優への憧れは子どものころからあったが、小2で始めた野球を大学卒業まで続け、その後に俳優の道を歩み始めた。20年にはジュノン・スーパーボーイ・コンテストで15人のファイナリストに入った。「ジュノンの先輩で俳優として活躍をしている人がたくさんいるので、自分も挑戦してみました」。

甲子園では18打数7安打の堂々たる成績を残し、ヤクルト高橋奎二投手(龍谷大平安)からもヒットを放った。「今でもよく覚えています。詰まったんですけど、振り切ったのでレフト前ヒットになりました」。今年の日本シリーズで力投したオリックス田嶋大樹投手(佐野日大)とも関東大会などで対戦し、ヒットを記録している。「そういう人たちが野球界の第一線で活躍をしているのを見ると『自分もああいう高いレベルでやっていたんだな』って不思議な気持ち。そして、俺も頑張らなきゃみたいな気持ちになります」。憧れの舞台で大歓声を一身に受けた2年生の春から9年。「野球は終わったけど、今度は俳優という道で新しい『柳谷参助』をお見せしたいです」。

「参助(さんすけ)」という古風な名前は本名だ。「参上して人を助ける、支えるという意味だと自分では思っているんです。すごく気に入っています」。

実は出演者を決めるオーディションに1度落選した。約半年をかけ、野球実技や演技の5次審査まで実施して12人を選出した際に漏れて、今回はいわば“下剋上出演”だ。ジュノンボーイの時も敗者復活から勝ち上がった“下剋上”だった。「そうです。自分は粘っこいんですよ。すべては野球を通じて身に付けた粘り強さだと思っています。高校時代も『ここで絶対に打ってやる』という気持ちでやって打ってきた。そういうところが敗者復活につながっているんじゃないかって感じです」。

第5話からは“下剋上の申し子”柳谷が、物語の展開になくてはならないスパイスとしてドラマに参上する。

◆柳谷参助(やなぎや・さんすけ) 本名同じ。1997年(平9)4月16日生まれ。群馬県桐生市出身。全国少年少女レスリング選手権で2度優勝。小2で始めた野球は桐生第一で14年センバツ8強。20年のジュノン・スーパーボーイ・コンテストのファイナリスト。今年7月からSMBCモビットのテレビCM「頑張る人への呼びかけ」篇に配達員役で出演中。B96-W76-H90センチ。172センチ、65キロ。血液型A。

◆日曜劇場「下剋上球児」 鈴木亮平が演じる主人公・南雲脩司は越山高校に赴任して3年目の社会科教師。大学まで野球一筋だったが、ケガをきっかけに引退。スポーツトレーナーとして働いていたが、教師になる夢を諦めきれず32歳で大学に入り直して36歳で教員に。廃部寸前の弱小野球部の顧問を務めることになったことから、人生の歯車が大きく回り始める。黒木華、井川遥、小日向文世らが共演。