「シルエット・ロマンス」などの大ヒットで知られる歌手の大橋純子(おおはし・じゅんこ)さんが9日に亡くなっていたことが11日、分かった。73歳だった。

近年は、病との闘いが続いていた。18年3月に、初期食道がんであることを発表。同4月に入院し、放射線と抗がん剤が効いてがんが消え、6月末に退院したが、さらに検査をする中で、左胸に初期の乳腺がんが見つかった。19年3月の復帰会見では、かつて良性の腺腫だったものが、がん化し、18年7月末に全摘手術。同12月に再建手術を行ったことを明かしたが、その後は歌手活動も再開していた。

しかし今年3月、がん再発のため、活動を一時休止することを発表した。定期健診で、再発が判明。大橋は「また皆さまの前で歌えるよう、しばらくお休みを頂戴致します」とコメントしていた。

また、先月22日に、83年に「夏女ソニア」でデュエットしたもんたよしのりさんの訃報が伝えられた際は、所属事務所を通じて「もんたさんの突然の悲報に接し現実のこととは思えず、ただただ茫然(ぼうぜん)としております。私が療養することになったり、自粛期間があったりで、タイミングが合わなくてご一緒することがかなわず、とても悲しくてなりません。どうかゆっくりお休みください…」とコメントしたばかりだった。

大橋さんは北海道・夕張生まれ。小学生の頃からポップスに興味を持ち、短大学在学中には、北大の軽音楽サークルでのバンド活動が注目を集めて上京し、74年にデビュー。「たそがれマイ・ラブ」「シルエット・ロマンス」など数々のヒット曲を出した。

79年には作曲家佐藤健氏と結婚。84年からの約4年間、米ニューヨークに行くなど休業・充電期間も経験。07年に地元夕張が財政再建団体に認定された際には、チャリティーカバーアルバムを発売するなど、歌を通じてさまざまな活動を行ってきた。

◆大橋純子(おおはし・じゅんこ)1950年(昭25)4月26日、北海道夕張市生まれ。学生時代、北大の軽音楽クラブバンドで地元の注目を集めて上京し、74年6月にアルバム「フィーリング・ナウ」でデビュー。大橋純子と美乃家セントラル・ステイション(ギターは後の「一風堂」の土屋昌巳)でバンド活動し、77年には「シンプル・ラブ」がヒット。78年、「たそがれマイ・ラブ」がヒットし、翌79年にNHK紅白歌合戦初出場。82年に「シルエット・ロマンス」がロングヒットし、第24回日本レコード大賞最優秀歌唱賞に輝く。「愛は時を越えて」などヒット多数。07年には、地元夕張支援コンサートに参加し、応援チャリティーカバーアルバム「Terra」を発売。